史上最大のメモリ価格上昇、AI需要が引き起こす構造変化
TrendForceの最新予測によると、従来型DRAM契約価格は1Q26に前四半期比90-95%上昇する見込みで、これは当初予想の55-60%から大幅に上方修正された。サーバー用DRAMについては約90%の四半期上昇率となり、これは過去最大の記録的な増加幅となる。
クラウドサービスプロバイダー(CSP)、サーバーOEM、PC OEMが幅広くDRAM供給不足に直面している状況で、北米と中国の主要CSPおよびサーバーOEMが1月時点でメモリサプライヤーとの年間長期DRAM契約(LTA)交渉を継続している。限られた供給量を巡る買い手同士の激しい競争が価格押し上げの主因となっている。
特に注目すべきはPC用DRAMの価格がホリデー四半期から約2倍に上昇し、ノートPCやその他のオンボードRAMシステムで使用されるLPDDRメモリ、スマートフォン向けメモリでも同様の急激な価格上昇が予測されることだ。
AI需要による構造的な容量再配分
Microsoft、Google、Meta、Amazonなどハイパースケーラーの旺盛なHBM需要により、Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyの世界3大メモリメーカーが限られたクリーンルーム設備と設備投資を高利益率のエンタープライズ向けコンポーネントに振り向けており、これはゼロサムゲーム状態となっている。
IDCは2026年のDRAMとNANDの供給成長率が前年比16%、17%にとどまり、歴史的な水準を下回ると予測している。HBM生産が標準DRAMの約3倍のウェハー容量を消費するため、メモリメーカーは消費者・企業向け製品から生産リソースを転用せざるを得ない状況だ。
企業のIT調達への具体的な影響
サーバー調達コストの急激な増大
Samsungは32GB DDR5モジュールの価格を9月の149ドルから239ドルに60%引き上げ、DDR5契約価格は100%以上急騰し、2025年初めの約7ドルから19.50ドルに上昇している。この価格上昇は企業のサーバー増設・リプレース費用に直接的な影響を与える。
高密度DDR5サーバーモジュール(96GB-128GB RDIMM)で一部セグメントのリードタイムが20週間を超える状況が発生しており、大型DRAM注文のリードタイムが40週間を超え、多くの構成が2026年度計画に適用できない状態で、サーバー展開が2027年にずれ込むパイプラインリスクに直面している。
予算計画への重大な影響
メモリコストの高騰により、新しいPCの部品構成コストに占めるメモリの割合が約18%に上昇(2024年比で約2倍)しており、S&P Global MobilityはDRAM価格が2026年に2025年比で70-100%上昇する可能性があるとして「この環境ではサプライチェーンレジリエンスが重要」と警鐘を鳴らしている。
Samsungの警告は、メモリ制約が2026年以降の企業IT調達戦略に影響を与え、ハードウェア計画において供給可能性とコストボラティリティを考慮する必要性を示している。特に6月決算の組織は、2026年前半のピーク価格と下半期の供給緩和可能性を踏まえた予算計画の課題に直面する。
調達戦略の抜本的見直しが必要
従来の調達サイクルが通用しない状況
調達を取引的機能として扱うことは、供給が逼迫した際にチームを無防備な状態にさらし、継続的な構造的メモリ制約により、将来の不足が与える影響を大幅に軽減するため、アーキテクチャ、更改戦略、調達モデルの再考が求められる。
予測可能な四半期末購入サイクルに依存している組織は、価格見直しや可用性制約に対する予期せぬエクスポージャーに直面する可能性がある。RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つメモリ専門の調達パートナーとの連携により、価格変動リスクの分散と安定調達の確保が重要な局面を迎えている。
長期契約と戦略的在庫の重要性
Apple Inc.は2026年第1四半期までのDRAM長期供給契約を確保することで競合他社より影響を受けにくい状況にあり、LenovoのCFO Winston Chengはさらなる価格上昇に備えて同社のメモリ在庫を通常レベルの約50%上回る水準に積み上げている。
4-6週間のバッファ在庫でも生産を保護でき、パートナーを持たないOEMは割り当てに左右される状況となるため、戦略的な在庫戦略とサプライヤー関係の構築が急務となっている。
情シスが今すぐ検討すべき3つのアクションアイテム
- 2026年度IT設備予算の緊急見直し:サーバー・PC調達費用の70-100%増加を前提とした予算再配分と、上半期調達の前倒し実行による価格リスク軽減
- ハードウェア調達戦略の多角化:単一ベンダー依存からの脱却、複数メモリ仕様での設計柔軟性確保、レガシーシステム延命策を含むポートフォリオ戦略の策定
- 長期調達契約の早期締結:2026年後半から2027年前半の調達分を含む長期契約の検討と、メモリ専門パートナーとの戦略的関係構築による安定供給体制の確保