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価格動向

DRAM価格、Q1実績で90%超の上昇を記録 ― 年度IT予算の見直しと緊急調達戦略が急務

RAMEXperts™️ 編集部

史上最大の価格急騰が現実化 ― Q1 2026で100%超の上昇

TrendForceが2月26日に更新したデータによれば、2026年第1四半期のPC DRAM契約価格は前期比100%超の上昇を記録し、四半期ベースでは史上最大の価格急騰となった。これは単なる一時的な変動ではなく、従来DRAM価格が55-60%上昇の予測から90-95%上昇へ大幅に上方修正され、NAND Flash価格も33-38%から55-60%へ引き上げられた構造的な市場変化を示している。

Appleが緊急会議を経てSamsungのLPDDR5Xメモリチップ価格の2倍値上げに合意したことからも、大手企業でも調達確保が困難な状況であることが分かる。HPは2月にDRAMがPC製造原価の35%を占めると公表しており、前四半期の15-18%から倍増している

AI需要による供給制約の恒常化

DRAM供給業者は先端プロセスノードと新規生産能力をサーバーとHBM製品に継続的に再配分しており、これが他市場への供給を大幅に制限し、従来DRAM契約価格の55-60%上昇要因となっているSK hynixとMicronはAIサーバー向け高帯域幅メモリ(HBM)へ生産能力を振り向けており、モバイルDRAMが極度の供給不足状態に陥っている

DigiTimes報告では、2026年第2四半期にさらに70%の価格上昇が予測され、IDCは供給不足が2027年まで継続する可能性を警告している「中小企業の集合的な撤退により、需給逼迫が過供給に転じ、供給不足が錯覚である可能性が暴露される」という分析もあるが、現時点では楽観視は危険である。

製造業者の戦略的判断

NAND Flash側では、Q1 2026の注文量が生産能力を大幅に上回っているにもかかわらず、メモリ製造業者はDRAMの収益性を重視し、生産ラインの一部をNAND FlashからDRAMへ積極的に再配分している。この戦略転換により短期的な供給制約解消は困難となっている。

情シス部門への具体的影響と対応策

予算への直接影響

ERPサーバー、データベースバックエンド、仮想化ホスト、AIワークステーション、産業用PCなどの高RAM構成は、数か月前の計算より大幅に高額となっており、計画メモリ量(128GB、256GB、512GB)が高いほど価格急騰の影響が強く現れている

RAMEXperts™️の60万5,000品の取扱実績データによると、企業向け32GB DDR5モジュールの調達価格は2025年9月の約200ドルから現在500ドル前後まで上昇しており、年度予算の大幅な見直しが必要な水準に達している。

調達戦略の転換点

AI供給チェーン危機により19万社を超える中小電子機器会社がメモリ市場から締め出されている状況下で、情シス部門は以下の戦略転換を迫られている:

  • RAMは2026年において安定した標準アイテムではなく、価格バッファーと代替シナリオを考慮した変動コスト要因として予算化すべき
  • 技術的に可能な箇所では、完全装備のDDR5セットアップへの即座の切り替えよりも、既存DDR4システムの拡張の方が経済的である
  • Q1 2026価格急騰(DRAM 55-60%増予測)前の重要メモリ・サーバー需要の購入と、200-300%プレミアムのスポット市場価格を避けた契約価格での交渉

セクター別の対応指針

PC・ノートブック調達

PC出荷が予想を上回ったため、PC DRAM の広範囲な不足が発生しており、メモリ供給業者から割り当てを確保したティア1 PC OEMでも在庫水準の低下を経験しているGartnerは2026年のPC出荷量が10%以上、スマートフォン出荷量が約8%減少すると予測しており、いずれもメモリコストが主因である。

サーバー・データセンター

北米と中国の主要CSPsとサーバーOEMsは1月時点でメモリ供給業者との年間長期DRAM合意(LTA)交渉を継続しており、限られた供給に対する買い手間の激しい競争により、サーバーDRAM価格はQ1 2026で約90%上昇が予想される

今後の見通しと戦略提言

価格正常化の時期

価格正常化の見通しは大幅な新製造能力の稼働と結びついており、その大部分は2027年後期または2028年まで卸売チャネルに到達しないと予想され、Q3 2026に緩和が始まるベースケースシナリオに60%の確率が割り当てられている

ただし「正常化」の定義は再調整されており、2024年の絶対価格水準への回帰ではなく、歴史的DRAM価格指数ベースラインに基づく予測可能な四半期変動への回帰を意味する

情シスが今すぐ検討すべき3つのこと

  • 年度予算の緊急見直しRAMを変動コスト要因として価格バッファーを含めて再計算し、複数の価格波動が単月内に発生する可能性を考慮した柔軟な調達戦略の構築
  • 調達計画の前倒し実行メモリとGPUは深刻な不足により即座の購入が必要だが、ストレージとネットワーキング機器は2026年後期の安定化まで待機可能
  • 技術戦略の見直し大規模RAM アップグレードプロジェクトを段階的に分割し、最初に合理的なベースライン、後に予算・需要・市場条件が一致した時点での拡張を計画

現在の市場環境では、従来の「価格下落を待つ」戦略は通用しない。情シス担当者は市場の構造変化を前提とした調達戦略への転換を急ぐべきである。