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価格動向

DRAM価格、第1四半期に90-95%急騰へ ― 情シスの設備投資計画、緊急見直し必要

RAMEXperts™️ 編集部

第1四半期DRAM価格、記録的急騰で設備投資計画に衝撃

TrendForceが2月2日に公開した最新レポートによると、従来型DRAMの契約価格は第1四半期に90-95%の上昇、NAND Flashも55-60%の価格上昇が見込まれています。これは従来の予測値55-60%を大幅に上回る修正であり、記録的な価格急騰となります。

PC向けDRAMは100%以上、サーバーDRAMも約90%の四半期ベース上昇となり、さらなる上方修正の可能性も示唆されています。この価格変動は、情シス部門の年間予算策定に根本的な見直しを迫るものです。

AI需要がもたらす構造的な供給不足

価格急騰の背景にあるのは、AI・データセンター需要の持続的拡大により、メモリ供給・需要バランスが悪化し、サプライヤーの価格支配力が強化されていることです。Microsoft、Google、Meta、Amazonなどのハイパースケーラーが大量のHBM需要を創出し、3大メモリメーカー(Samsung、SK Hynix、Micron)が限られたクリーンルーム・設備投資を高収益のエンタープライズグレード製品にシフトしている状況が続いています。

HBM製造には標準DRAMの約3倍のウェーハ容量が必要で、2026年にはAI用途が世界のDRAMウェーハ容量の約20%を消費すると予測されています。1台のAIサーバーが従来型サーバーの10-20倍のメモリを消費し、メーカーはこれらの契約を優先している結果、一般企業向け供給が極度に逼迫しています。

情シスへの具体的影響:予算・調達・運用の全面見直し

RAM価格は第1四半期に約90%上昇しており、DRAM製品は1四半期で110%上昇、16GB DDR5チップが2025年9月の6.84ドルから27ドル超(4倍)に急騰し、アセンブリ後の16GBモジュールは利益率考慮前で225ドル超に達しています。

PC主要ベンダー(Lenovo、Dell、HP、Acer、ASUS)は軒並み15-20%の値上げを予告し、Morgan StanleyはDellの格付けを下げ、サーバーメモリコスト上昇が企業向け製品利益率に影響と分析しています。

企業の調達現場では、東京秋葉原では購入制限、中国では100個入りサーバーグレードDDR5モジュールが上海不動産価格並み、台湾では流通業者がDRAMとマザーボードをバンドル販売する異常事態が発生しており、IT調達業務が著しく困難になっています。

メーカー動向:Samsung・SK Hynix・Micronの戦略転換

SK Hynixは2月25日、龍仁第1半導体工場に約216兆ウォン(約150億ドル)の追加投資を決定し、2030年末までに本格的なEUV生産ラインとHBM後工程設備を展開すると発表しました。第1クリーンルーム稼働開始も2027年5月から2月に前倒しされています。

Samsungは平沢P5生産ライン建設スケジュールを6か月以上前倒しし、2026年第3四半期完成、2027年後半稼働予定に変更Micronは2026年1月にニューヨーク大型工場着工、最終的に4工場を収容する全米最大の半導体施設建設を計画しています。

HBM市場シェアはSK Hynix 62%、Micron 21%、Samsung 17%となっており、NVIDIAの次世代Vera Rubin向けHBM4供給では、SK Hynixが50%台半ば、Samsungが20%台半ば、Micron約20%の割り当てを受けています。

回復時期と長期見通し:2027年まで高騰継続か

今回は循環的な需給ミスマッチではなく、世界のシリコンウェーハ容量の恒久的・戦略的再配分であり、構造的変化として多くのアナリストが位置づけ、2027年以前の正常価格復帰は期待されない状況です。

IDCは2026年の供給成長率をDRAM 16%、NAND 17%と歴史的基準を下回ると予測し、TrendForceは在庫逼迫とウェーハ生産量増加への依存度増大により価格圧力が増幅されると分析しています。

クラウド価格の低下は2027年以前は見込まれず、AI需要が2026年に緩和されても新DRAM製造能力は2027年まで稼働開始せず、クラウド事業者が新価格帯確立後に値下げを行うことは稀とされています。

情シスが今すぐ検討すべき3つのアクション

1. 第1四半期予算の緊急見直しと上方修正

  • 予算前提を現行市場価格に調整し、早期にテクノロジーパートナーと協議して価格確定・予算保護
  • 6か月前なら有利契約締結、ハードウェア更新サイクル前倒し、2026年予算への現実的前提組み込みが可能だったという教訓を踏まえ、第2四半期以降の先回り対策
  • 企業は価格緩衝材を大幅に追加し、複数市場シナリオ計画が必要という現実を受け入れた予算策定

2. 調達戦略の抜本的見直しと代替手段確保

  • 通常より早期計画開始、可能な限り構成標準化で調達確率改善、HBSなど専門パートナーとの早期協議で配分確保・代替案モデリング・価格/供給圧力先回り対応
  • ITAM、SAM、FinOps活用でコスト削減機会発掘、アプリケーション合理化、ライセンス適正化、既存投資最大化による予算確保、資産回収で既存デバイスから貴重なメモリ抽出・再販・再展開
  • RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門パートナーとの連携により、希少品・代替品の確保ルート多様化

3. ハードウェア更新計画の前倒しと長期契約戦略

  • ネットワーク機器更新もサーバー調達と同様の緊急性で対応し、別々に計画せず、エンドポイント更新タイムライン前倒し、高性能モデルの価格変動覚悟、一括発注による配分確保
  • 第2四半期価格変動前の狭い対応窓口を活用した複数年契約確保または アーキテクチャ最適化作業開始
  • 継続的な構造的メモリ制約を前提としたアーキテクチャ、更新戦略、調達モデル再考により、将来の供給不足影響を大幅軽減する体制構築