史上最大の値上げ幅に上方修正
北米クラウドサービス事業者(CSP)が2025年末から大口調達を前倒ししており、AI推論向けインフラ投資が継続的にサーバー用DRAM需要を押し上げている。メーカーの在庫は枯渇に近づき、出荷増は生産能力の向上のみに依存する状況となったため、サーバー用DRAM価格の90%超上昇が現実的となった。
TrendForceは「AI・データセンター需要の持続により、世界のメモリ需給バランスがさらに悪化し、メーカーの価格決定権が強化されている」と指摘し、Q1 2026の価格予測を大幅に引き上げた。
PC・モバイル用も軒並み高騰
PC出荷がQ4 2025に予想を上回ったことでPC用DRAM不足が広範囲に発生し、LPDDR4X・LPDDR5X契約価格も前四半期比約90%上昇と、こちらも史上最大の値上げ幅が予想される。米スマートフォンブランドとの契約は昨年末に大部分が成立済みだが、中国メーカーとの価格交渉は2月末に本格化する見通しだ。
エンタープライズSSD価格も53-58%上昇し、四半期ベースで過去最高の値上げ率を記録する見込みとなっている。
情シスが直面する具体的影響
この価格上昇は、企業IT部門の予算・調達計画に深刻な影響を与える。Counterpoint Researchは、DDR5 64GB RDIMM(企業データセンターで広く使用)が2026年末には2025年初頭の2倍のコストになると予測している。
高容量サーバー用DIMMは2026年初頭に単体で2,000-4,000ドルの価格帯に達している。調達チームは既にサーバー・PC・スマートフォン向けに値上げを受け入れており、次世代メモリ搭載システムではより急激な値上げが予想される。
調達リスクの具体例
- サプライヤーが数ヶ月先の在庫確保も保証できない状況
- 卸売業者がRAMの価格保証を1時間単位に短縮し、迅速な購入判断を要求
- Dell・HP・Xiaomiが「2026年に深刻な供給不足発生」と警告、メモリモジュール価格50%上昇を予測
大手企業は長期契約で回避、中小は直撃
大手PCメーカーはメモリメーカーと長期契約を結んでおり、日々変動するスポット価格の影響を受けにくい。Lenovo・Dell・HPやGoogle・Amazonなどハイパースケーラーは長期供給契約(LTA)により優先的にウェハー割当を受け、15-20%程度の価格上昇に抑制可能だ。
一方、スポット市場でメモリを調達する層は深刻な打撃を受ける。中小企業のIT部門は、大企業と比べて交渉力が限られるため、より大きな価格上昇を受け入れざるを得ない状況となっている。
価格安定化の見通し
SK Hynixは2026年にHBM専用のM15X工場で本格量産を開始し、2027年前半から生産状況の改善を見込んでいる。2027年には企業が蓄積した在庫の消費により契約量を大幅に削減すると予想され、メモリメーカーの過剰生産能力がDDR5価格の急激な下落を招く可能性がある。
ただし、短期的な価格緩和は望めない。TrendForceはQ1 2026のDRAM契約価格が55-60%上昇すると予測し、「DDR5価格は2026年中に正常化しない」との見解を示している。
情シスが今すぐ検討すべき3つのこと
1. 調達計画の前倒し実行
中国の主要ブランド企業は「メモリー需給が極端に逼迫する前のQ1-Q2に多めの調達を実施する」方針を取っている。企業も同様に、必要なメモリ・サーバー機器の調達を可能な限り前倒しすべきだ。
2. 予算の大幅見直しとリスクヘッジ
RAMは「安定した標準部品から変動の大きいコスト要因」に変化しており、価格バッファーと代替シナリオを考慮した予算策定が必要。メモリコストの2倍増を前提とした設備投資計画への修正が急務となる。
3. DDR4システムの延命とDDR5移行の慎重な判断
技術的に可能な場合、既存DDR4システムの拡張が新規DDR5システム導入より経済的になっている。大規模なRAMアップグレードプロジェクトは段階的実施により、最も不利な価格での最大構成購入を回避する戦略が重要だ。
RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門調達パートナーとの連携により、価格変動リスクの最小化と安定供給の確保が可能となる。メモリ市場の構造変化を前提とした、新たな調達戦略の構築が急がれる。