来期予算、このままで大丈夫ですか?
「第4四半期の見積もりから倍近い価格になっています」──2026年に入り、こうした情シス担当者からの声が急増しています。TrendForceは従来予測の55-60%から90-95%へと、2026年第1四半期のDRAM価格上昇予測を大幅上方修正しました。特にPC DRAM価格は105-110%の上昇が予測され、事実上の倍額となる見通しです。
これは単なる一時的な価格変動ではありません。Microsoft、Google、Meta、Amazonといった超大手による膨大なHBM需要により、Samsung、SK Hynix、Micronの3大メーカーが限られた生産能力を高マージンの企業向け製品に振り向けている構造的変化の結果です。
価格急騰の真因:AI需要が生み出す「ゼロサムゲーム」
NvidiaのGPU向けHBMスタックに割り当てられるウェハーは、中級スマートフォンのLPDDR5Xモジュールやコンシューマー向けノートPCのSSDから奪われるウェハーと同じものです。この「ゼロサムゲーム」により、HBMメモリ1単位の製造には標準DDR5 RAM約3倍のウェハー容量が必要で、Micronが1ビットのHBMメモリを生産するたびに、3ビットの一般消費者向けRAMの生産を諦めなければならない状況が生まれています。
さらに深刻なのは、Google、Amazon、Microsoft、Metaがメモリーサプライヤーとオープンエンドの発注契約を結び、コストに関わらず利用可能な供給量すべてを購入することに合意しており、OpenAI・Samsung・SK Hynixのパートナーシップでは月間90万枚のDRAMウェハー開始を目標とし、これが全世界のDRAM生産量の約40%に相当することです。
DDR4もDDR5も価格上昇の波に
「DDR5が高いならDDR4で」という選択肢も厳しい状況です。メモリーメーカーは積極的にDDR4生産を段階的に廃止しており、2026年にはDDR4生産が2025年レベルの約20%まで落ち込む見込みです。この結果、技術的に優位なDDR5よりも古いDDR4メモリの方が高価になるという逆転現象が発生しています。
DDR4は供給量の縮小により制約を受け、DDR5は強い需要により駆動されるため、DRAM価格は意味ある下落は見込めないのが現実です。
企業への直接的影響:BOM比率の劇的変化
メモリ価格高騰は、企業のハードウェア調達に直接的な打撃を与えています:
- Dell、Lenovo、HP、Acer、ASUSが2026年後半に15-20%の価格引き上げを発表し、中級ノートPCでは部品表(BOM)に占めるメモリの割合が2025年初頭の10-18%から20-25%に上昇
- メモリコストが新しいPCの部品表の約18%を占めるまでに上昇(2024年の約2倍)
- 特にメモリ集約型のサーバー構成において最も高い変動リスクが第1四半期に予想される
サーバーメモリは特に深刻
AI需要による供給ひっ迫によりサーバーメモリ価格は2026年末までに倍増する可能性があり、DDR5 RDIMMコストは製造業者のAIチップへのピボットとNvidiaのメモリ集約型AIサーバープラットフォームにより100%急上昇する可能性があるとの警告が出されています。
特に高容量サーバーモジュール(96GB、128GB DDR5 RDIMMなど)は極めて希少で不釣り合いに高額となっており、ERPサーバー、データベースバックエンド、仮想化ホスト、AIワークステーション、工業用PCなど高RAM構成システムは数ヶ月前の計算よりも大幅に高額となり、計画メモリが大容量(128GB、256GB、512GB)であるほど価格ジャンプの影響が強くなる状況です。
調達戦略:今すぐ取るべき3つのアクション
この構造的価格上昇に対し、情シス部門が今すぐ検討すべき対応策は以下の通りです:
1. 緊急予算見直しと調達前倒し
次四半期に生産要件がある場合は、直ちに在庫を確保する必要があり、2026年第2四半期の価格は現在より確実に高くなる見通しです。2026年前半にリフレッシュを計画している場合、これは理論的な問題ではなく予算とタイミングのリスクとして扱う必要があるのが現実です。
- 年度予算の20-30%上方修正を検討
- 重要なハードウェアリフレッシュの前倒し実行
- 複数ベンダーとの価格固定契約交渉
2. DDR4インフラの戦略的活用
技術的に可能な場合、既存のDDR4システムを拡張することは、完全装備のDDR5セットアップへの即座の切り替えよりも経済的です。DDR4がニッチで高価なレガシー製品になりつつあるため、DDR5への移行は長期的なライフサイクル安定性の観点でより良い選択ですが、短期的にはDDR4での延命も有効な戦略です。
3. 段階的拡張計画の策定
大規模なRAMアップグレードプロジェクトは段階的に分割し、まず合理的なベースライン、その後予算・需要・市場条件が整合した時点での拡張を行う。仮想化、データベース、AIワークロード、インメモリ分析などメモリ集約的アプリケーションでは、容量目標(128GB、256GB、512GB)を複数段階で計画することが合理的です。
中長期見通し:正常化は2027年以降
DDR5 RAMの価格が「正常」に戻る時期は主に新しい製造施設(fab)の稼働にかかっており、Samsung P4工場のPyeongtaek P4施設は2026年を通じてストレージ生産ラインの立ち上げが期待されているものの、年間20-30%の安定した需要成長(GDP成長率をやや上回る)と徐々に増加する生産能力を仮定すると、メモリ価格は数年間高止まりする可能性があり、2028年までに新しいfabによってDRAM平均販売価格が実質ベースで2024年レベルまで下落するとの予測が現実的です。
60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門の調達パートナーRAMEXperts™️のような専門業者との連携により、価格変動リスクを最小化し、安定的な供給体制を構築することが、この困難な時期を乗り切る鍵となるでしょう。
「完璧なタイミングを待つ」ことがますます困難になり、1ヶ月以内に複数の価格上昇波が到来する可能性があるため、積極的な市場監視と柔軟な調達戦略が価格急騰の回避または軽減に不可欠となり、RAMは2026年において安定した標準アイテムではなく価格バッファと代替シナリオを考慮すべき変動コスト要因として位置づけ直す必要があります。