来期のメモリ調達予算、このまま通せますか?
「Q1で90-95%の価格上昇」「PC向けDRAMは価格倍増」「サーバー向けは90%増で過去最大の上昇幅」――。TrendForceが2月2日に公表した最新予測は、情シス担当者にとって悪夢そのものです。
AI・データセンター需要の継続的拡大により、1Q26のグローバルメモリ供給需要バランスがさらに悪化し、サプライヤーの価格決定力が強化されています。もはや「しばらく待てば価格が下がる」という従来の調達戦略は完全に破綻しました。
価格急騰の詳細インパクト
従来型DRAMの契約価格は、従来予測の55-60%から90-95%の四半期比上昇に大幅上方修正されました。具体的な製品別の影響は以下の通りです:
- PC DRAM:約2倍の価格上昇、105-110%の四半期比上昇
- サーバー DRAM:約90%の四半期比上昇で過去最大の記録
- LPDDR4X/5X:約90%の四半期比上昇で史上最大の増加幅
- NAND Flash:55-60%の上昇(従来予測33-38%から上方修正)
DDR4のEOL加速が状況をさらに悪化
価格急騰と同時進行しているのが、DDR4メモリの生産終了(EOL)加速です。Samsung、SK hynix、Micronは2025年末~2026年初頭にかけてDDR4出荷を停止する予定で、Micronは2026年第1四半期以降に生産を完全停止すると発表しています。
2025年中頃の時点で、DDR4スポット価格は既に50-100%上昇し、一部では16GbのDDR4モジュールがDDR5同等品よりも高額になっています。主要メーカーの撤退と小規模ベンダーの供給力不足により、DDR4供給は2026年まで縮小し続ける見通しです。
情シス部門への具体的影響と対応策
予算への直接的インパクト
32GB DDR5モジュールがSamsung価格で9月の149ドルから239ドルへ60%上昇し、DDR5 64GB RDIMMモジュールは2026年末までに2025年初頭の2倍のコストになる可能性があります。
2026年予算では、DRAM調達コストの40-50%増加を加重平均として織り込む必要があります。これは最悪ケースのバッファーではなく、シナリオを適切に重み付けした場合の期待値です。
調達戦略の緊急見直しポイント
1. 前倒し調達の検討
WBM Technologiesなどの調達専門企業は、価格と可用性確保のためメモリ購入の前倒しを強く推奨しています。Q1-Q2 2026のハードウェアリフレッシュを計画している場合、タイムラインの加速を検討すべきです。
2. DDR4インフラの延命戦略
技術的に可能な場合、既存のDDR4システムの拡張は、完全装備のDDR5セットアップへの即座の切り替えよりも経済的です。しかし、DDR4は遺産PC、産業制御装置、組み込みシステム、バジェットデスクトップにとって重要でありながら、需要の減少よりも供給の減少が早く、不均衡を生み出している状況を考慮する必要があります。
3. 段階的プロジェクト展開
大規模なRAMアップグレードプロジェクトを段階に分割し、まず合理的なベースラインを構築し、後に予算・需要・市場状況が揃った時点で拡張する戦略が有効です。
サプライチェーン構造の変化を理解する
3社が全世界のDRAM生産の約95%を制御し、サプライヤーが最も収益性の高いセグメントを選択する中、製造リソースがAI加速器で使用されるHBM(高帯域幅メモリ)に向けてシフトしています。HBMはDDR5の約3倍のウエハー容量を消費し、不足を悪化させている状況です。
HBMの製造は標準DRAMの約3倍のウエハー容量を必要とし、NVIDIAのGPU向けにウエハーが使用されると、コンシューマーRAMや企業向けDDR5モジュールの製造には利用できません。2026年までにAIアプリケーションは世界のDRAMウエハー容量の約20%を使用する見込みです。
調達パワーの変化
企業調達において、サプライヤーのサイズがもはや安定性を保証しません。2026年の供給競争激化により、調達レバレッジは数量よりも戦略的整合性に依存します。ハイパースケールクラウドプロバイダーは長期コミット、容量予約、直接ファブ投資で供給を確保し、より低コストと確実な可用性を得る一方、中規模企業はより短い契約とスポット調達に依存し、大口バイヤーが優先供給を確保した後の残余容量をめぐって競争します。
RAMEXperts™️による戦略的調達支援
このような前例のない市場環境において、60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門の調達パートナーであるRAMEXperts™️のような専門企業との連携が、リスク軽減と安定供給確保の鍵となります。特に、グローバルな調達ネットワーク、品質保証体制、緊急調達への迅速対応能力が重要な差別化要因となります。
情シスが今すぐ検討すべき3つのアクション
- 予算の緊急見直し:2026年のDRAM調達コストを40-50%増で再計算し、上長への報告と追加予算確保の準備を開始
- 調達タイミングの最適化:Q2以降の予定案件を前倒しし、現在価格での見積確保と在庫予約を実施、必要でなくても早期納入でコスト固定化を検討
- 技術仕様の柔軟性確保:承認済み代替案(メモリ速度・密度・ベンダー選択肢)を事前準備し、第一選択コンポーネントが入手不可能でもプロジェクトを継続可能にする
現在最悪の選択は待機して価格下落を期待することです。少なくとも2026年中は価格は下がりません。DRAM価格は1Q26にピーク(+55-60%)を迎え、Q3 2026から下降し、2027年後半-2028年初頭に正常化する見通しですが、それまでの期間の調達戦略が企業の競争力を左右する重要な要因となります。