価格予測が一転、「DRAMpocalypse」が現実に
2026年第1四半期のDRAM価格動向について衝撃的な発表がありました。TrendForceは2月、従来予測の55-60%から90-95%へと大幅な上方修正を発表しました。特にPC DRAM契約価格は前四半期比100%超の上昇が予想されており、これは過去最大の四半期上昇記録となります。
さらに重要なのは、サーバーDRAM価格も1Q26に60%超の上昇が見込まれていることです。これは情シス担当者にとって、年度予算の前提条件が根底から変わることを意味します。
なぜここまで急激な価格上昇なのか?
AI需要による構造的な供給不足
Samsung、SK hynix、Micronの大手3社がAI向けHBMメモリに生産リソースを集中投下。これによりスマートフォンやPCの一般向けメモリの供給が削減されています。
SK hynixは2026年まで全生産能力が「完売」状態と発表しており、他メーカーも同様の状況に近づいていると報告されています。
PC出荷好調による意外な需要増
2025年第4四半期のPC出荷が予想を上回り、PC DRAM不足が深刻化。大手PC OEMも在庫レベルが急速に低下している状況です。これによりAI需要だけでなく、従来の企業PCリプレース需要も価格を押し上げる要因となっています。
企業のIT調達への具体的影響
サーバー調達コストが2倍に
Counterpoint Researchの分析では、企業データセンターで広く使用されるDDR5 64GB RDIMMモジュールが2026年末までに2025年初頭の2倍の価格になる可能性があります。
具体的な価格変動では、Samsung製32GB DDR5モジュールは9月の149ドルから239ドルへと60%上昇しており、今後さらなる上昇が予想されます。
調達リードタイムの大幅延長
供給逼迫により、特定のDDR5モジュールサイズや希望ベンダーでの納期が大幅に延長。プロジェクト遅延、代替品受け入れ、スポット価格での調達を迫られるケースが急増しています。
中堅企業への特に深刻な影響
ハイパースケールクラウドプロバイダーは長期契約で供給を確保する一方、中堅企業は短期契約と在庫調達に依存するため、より高いコストと長い納期の二重制約に直面します。
今すぐ検討すべき3つの対策
1. 調達計画の前倒し実行
価格正常化を待つのは実行可能な戦略ではなく、リスクの高いギャンブルです。2026年度予定の設備投資を前倒しし、年度内の調達実行を強く推奨します。特にメモリ可用性が配信を遅延させる可能性のあるプロジェクトを特定し、配信時期まで待たずに調達タイミングを前倒しすべきです。
2. メモリ構成の標準化と代替品戦略
承認メモリ構成数を制限し、不足が発生する前に代替案(容量階層、モジュール種類、承認OEMオプション)を特定してください。RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門調達パートナーとの連携により、代替品の早期確保が可能になります。
3. 段階的拡張によるリスク分散
大規模なRAM更新プロジェクトを段階に分割し、まず適切なベースライン、後に予算・需要・市場条件が整った段階での拡張を実施することで価格変動リスクを分散できます。
メモリ集約型アプリケーション(仮想化、データベース、AI、インメモリ分析)では、容量目標を複数段階で計画することが特に重要です。
長期的な市場見通し
DRAM価格は年内にピークを迎える見込みだが、正常値への回復は数年を要し、2028年まで高価格が継続する見通しです。この構造的な変化により、情シス部門は従来の「安くなるのを待つ」戦略から「必要な時に確実に調達する」戦略への転換が不可欠です。
今回のメモリ価格急騰は一時的な需給バランスの問題ではなく、AI需要による世界のシリコンウェハー生産能力の恒久的・戦略的再配分と捉える必要があります。情シス担当者は、これまでとは異なる調達環境に適応した新たな戦略構築が急務といえるでしょう。