記録的な価格上昇が現実に:90%超の値上げを確認
TrendForceが2026年2月2日に公表した業界調査では、AI・データセンター需要の継続により1Q26のメモリ供給需要バランスがさらに悪化し、DRAMコントラクト価格の四半期比上昇率を55-60%から90-95%に大幅上方修正した。これは四半期ベースでほぼ倍増を意味する記録的な値上げとなる。
PC向けDRAMについては100%を超える四半期比上昇が予測され、これまでで最大の四半期価格急騰を記録する見通しだ。スマートフォン向けのLPDDR4XとLPDDR5Xも約90%の四半期比上昇が予想され、これらも史上最大の上昇率となる。
HPEが契約条項を変更:出荷まで価格変更可能に
2026年2月上旬、HPEはパートナー企業に向けてサーバーおよびGreenLakeオーダーの契約条項変更を通知、メモリ価格上昇と供給制約を理由に挙げた。2月4日より前に受注したGreenLakeオーダーは影響を受けない。HPEパートナーのAdvisexのCEOは「急激なメモリ価格変動により、100万ドルの提案で30%の予算差異が生じる可能性がある」と警告している。
この動きは、サーバーベンダーが従来の固定価格モデルを維持できないほどメモリコストが急変動していることを示している。企業の情シス部門にとって、予算承認から実際の調達まで数ヶ月を要するプロジェクトでは、コスト予測の精度確保が極めて困難になる。
DDR4終息加速が企業調達に与える複合的打撃
Samsungは当初DDR4生産終了を計画していたが、AI需要によるHBM向け生産拡大でDDR5価格も急騰し、古いDDR4メモリの需要と価格上昇を引き起こした結果、主要3社がDDR4生産ライン停止を延期している。しかし延期されたDDR4供給の大部分はサーバー用途に向けられ、コンシューマー向けはメモリ不足の改善を期待できない。
DDR4ベースサーバーの段階的メモリ増設で延命を計画していた企業は、DRAM契約価格が年初来50%上昇し、さらにQ4に30%、2026年に20%の追加上昇が予測される全く異なるコスト曲線に直面している。
AI需要の「玉突き効果」でエンタープライズ市場に深刻な影響
OpenAIのStargateプロジェクトだけで世界のDRAM生産の最大40%、月間約90万枚のウェーハを消費する見込みとなっており、これまで企業向けに回っていた供給分が大幅に削減される構図が鮮明になった。
SK Hynixなど主要DRAMメーカーは「来年のDRAM、NAND、HBM製造能力は完売状態」と表明しており、WBM Technologiesはクライアントにシステムのライフタイム分のRAMとストレージを事前購入するよう強く推奨している。業界予測では回復まで3年以上(2029年末まで)を要する見通しだ。
リードタイムと在庫戦略の根本的見直しが急務
大容量オーダーのリードタイムが26週間超に延長され、インフラ増強や修理の計画立案が極めて困難になっている。LenovoのCFOは「前例のない」コスト上昇と表現し、同社のメモリ在庫がさらなる価格上昇に備えて通常レベルの50%増に達していることを明らかにした。
Lenovoは2026年2月25日以降の受注について価格改定の可能性が高いとし、2月28日までに受注されても3月31日までに出荷されないオーダーは再見積もりが必要とした。これにより、年度末予算での駆け込み調達についても、実際の納期次第で価格変動リスクを負うことになる。
60万5,000品の取扱実績を持つRAMEXperts™️との連携強化
このような調達環境の急変において、DRAM専門の調達パートナーとの連携がますます重要になっている。特に、市場動向を先読みした在庫確保や、複数ベンダーにまたがるリスク分散調達の実現には、専門的な市場インテリジェンスと調達ノウハウが不可欠だ。
今後の展望:2026年中の追加上昇も
TrendForceは「さらなる上方修正が発生する可能性がある」と警告している。DRAM・NAND価格は1Q26を通じて二桁の四半期増加が確実視され、PC・サーバー価格の15-20%上昇が主要ベンダー全体で高い確度で予測される。価格ピークは2026年中後期となる見通しだ。
部分的な供給正常化は、MicronのIdaho工場とSK HynixのYongin工場群が量産体制に入る2027年後半まで現実的な可能性に留まるという長期戦の様相を呈している。
情シスが今すぐ検討すべき3つのこと
- 2026年度IT予算の緊急見直し:サーバー・PC関連予算を15-30%上方修正し、経営陣への早急な予算変更申請を実施。特にメモリ集約的なAI・データ分析基盤の投資計画は根本的な再検討が必要。
- 調達タイミングの前倒し検討:2026年度下半期から2027年度に予定していたサーバー増設・リプレースの可能な限りの前倒し実施。複数年度予算の組み替えとリース活用による資金確保策を財務部門と協議。
- DDR4機器の延命戦略立案:現行DDR4サーバーの保守期間延長とメモリ増設による性能向上で、DDR5への移行時期を市場安定化まで先送りする選択肢を評価。ただし、保守部品確保リスクとのバランスを慎重に判断。