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価格動向

DRAM価格、第1四半期に90%急騰見通し ― AI需要でメモリ調達戦略の根本的見直しが急務

RAMEXperts™️ 編集部

AI需要によるメモリ市場の構造変化が価格予測を一変

TrendForceが2月2日に発表した最新レポートによると、従来推計の55-60%から90-95%へと大幅に修正されたDRAM契約価格の上昇予測は、単なる一時的な価格調整ではない。AI インフラ需要、製造リアロケーション、ウェーハ容量制約による構造的供給不均衡が根本的原因であり、企業の情シス部門は従来の調達戦略を抜本的に見直すタイミングに直面している。

サーバーDRAMの価格は約90%上昇し、四半期増加率として過去最大を記録する見通しである。更に深刻なのは、PC向けDRAMが100%超の値上げという、これまでに例のない急激な変化だ。この価格上昇は、OEMの四半期供給契約で決定されるシステムBOMコストに直結し、企業のIT予算に即座に影響する。

メモリ大手3社の供給戦略がもたらすサプライチェーンの構造変化

SK Hynixは2026年向けのHBM、DRAM、NANDキャパシティが「本質的に売り切れ」と報告し、サムスンのDRAM在庫は約6週間分まで減少し、通常の10-12週間の約半分という状況が明らかになっている。これは一時的な在庫調整ではなく、マイクロソフト、Google、Meta、Amazonなどのハイパースケーラーによる貪欲なHBM需要に対応するための戦略的生産リアロケーションの結果だ。

NvidiaGPU向けHBMスタックに割り当てられるウェーハは、ミッドレンジスマートフォンのLPDDR5XモジュールやコンシューマーノートパソコンのSSDから奪われるというゼロサムゲームが現実となった。HBM4は物理的により大きく複雑で、単一HBMウェーハの製造は約3枚の従来DRAM ウェーハの製造能力に相当するため、従来製品への影響は避けられない。

主要メモリメーカーの2026年戦略

  • SK Hynix:市場リーダーとしてイチョンのM16工場とM15Xファブで本格的なHBM4生産を開始、TSMCとパートナーシップを組んでNVIDIA Rubin向けの高密度12層スタック供給
  • Samsung:1c DRAM容量を月産6万枚まで拡張してHBM4生産に特化
  • Micron:コンシューマー向け「Crucial」ブランドから撤退し企業・AI顧客に注力

企業情シスへの具体的影響と対策の方向性

この価格上昇が情シス部門に与える影響は多岐にわたる。1,000台のサーバーリプレースを計画している組織の場合、90%のDRAMコスト上昇は数百万ドルの予算外設備投資に相当し、企業全体のデジタル変革プロジェクトを停滞させる可能性がある。

Dell、HP、Lenovo、Acer、ASUSはすべて2026年初頭から新コンピューターで15-20%の価格上昇を顧客に通達済みだ。DellのCOOは「これまでの事業経験において、現在のペースでのコスト上昇を目撃したことがない」とコメントしており、事態の深刻さが窺える。

RAMEXperts™による調達戦略の最適化

60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門の調達パートナーであるRAMEXperts™では、こうした市場環境下で企業の調達リスクを最小化する包括的なソリューションを提供している。大幅な予算計画の見直しと、実現可能な場合の一括契約を含む早期かつ柔軟な調達戦略が、価格リスクの軽減に不可欠となっている。

2026年下半期以降の市場見通しと長期戦略

DRAMの価格ピークは2026年第1四半期と予測され、有意義な正常化は2027年末から2028年初頭まで期待できないという長期見通しが示されている。DRAMの価格ピークは今年後半と予想されるものの、正常水準への回復は2028年まで期間を要するとされ、企業は中長期的な価格高水準を前提とした調達戦略が必要だ。

業界アナリストは2026年のDRAM供給成長率を前年比16%、NANDは17%と予測する一方、需要成長率は35%と見込まれ、需要が供給を大幅に上回る限り価格は上昇せざるを得ない状況が継続する。

情シスが今すぐ検討すべき3つのアクション

  • 調達計画の全面見直し:12-24ヶ月の需要予測、新規構築向けのDDR5標準化、レガシーシステム向けの早期DDR4調達、専門サプライヤーとの緊密な協業による重要SKUの確保を優先実施
  • 予算戦略の再構築:DRAM契約価格の50-55%上昇によるOEMコスト構造の再構築とデバイス価格リセット、OEMの15-20%デバイス価格上昇を織り込んだ予算計画への変更
  • サプライヤー関係の強化:調達を取引機能として扱うことは供給逼迫時にチームを危険に晒すため、構造的メモリ制約下でのアーキテクチャ、リプレース戦略、調達モデルの再考が不可欠