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DRAM価格、Q1に最大95%上昇の衝撃 ― 情シス調達計画の緊急見直しが必要

RAMEXperts™️ 編集部

契約価格の史上最大級上昇が確定 ― 四半期で倍増の現実

TrendForceが2026年2月2日に公表した最新調査結果が、企業の情報システム部門に深刻な影響を与えています。従来のDRAM契約価格の前四半期比上昇率は、当初予測の55-60%から90-95%へと大幅に上方修正されました。PC向けDRAMでは100%超の上昇が予測され、四半期ベースでの急騰記録を更新する見込みです。

この数値が示す現実は厳しく、HPは決算発表でメモリがPC製造コストの35%を占めると報告しており、前四半期の15-18%から倍増しています。メモリが単一部品としてPC製造における最大のコスト要因となった状況は、企業のIT調達戦略に根本的な見直しを迫るものです。

サーバー・PC調達への直接的インパクト分析

サーバー向けDRAMでは約90%の四半期上昇が見込まれ、これは四半期ベースでの最大記録となります。具体的な価格動向を見ると、一部の16Gb DDR5チップは2025年9月の6.84ドルから12月の27.20ドルへと3ヵ月で約300%上昇しており、Q1 2026はさらなる急騰局面に入っています。

企業のリプレース計画に与える影響も深刻です。Windows 10サポート終了(2025年10月)に伴うリフレッシュサイクルがメモリ不足と正面衝突している状況であり、Lenovo、Dell、HP、Acer、ASUSといった主要OEMはすべて15-20%の価格引き上げを発表し、見積有効期間の短縮も実施しています。

DDR4とDDR5の価格格差縮小が意味すること

従来「DDR4は安価な選択肢」との位置付けでしたが、現在は状況が変化しています。供給不足の制約により、PC向けDRAM契約価格は第1四半期に急騰し、DDR4がDDR5を上回る上昇率を示している状況です。2025年10月には32GB(2x16GB)DDR4キットが60-90ドルで購入できたが、2026年1月には150-180ドルに上昇しており、DDR4も安全な選択肢ではなくなっています。

DDR5とHBMは特に供給不足が深刻である一方、古いDDR4でもより大きな価格変動が見られるため、技術選択における従来の常識的判断が通用しない状況となっています。

AI需要による構造的変化 ― 回復時期の見通し

今回の価格上昇は一過性の現象ではありません。北米クラウドサービスプロバイダーがAIインフラへの投資を加速させることで、サーバー市場は2026年にピークを迎える見通しであり、データセンターが2026年にハイエンドDRAM生産の70%を消費し、残り30%をスマートフォン、PC、タブレット、産業機器、自動車システム等で分割する構造となっています。

回復時期については、Gartnerの「memflation」レポートではH2 2027に不足が終了し、新規fab容量は発表から量産まで2-3年を要するとしています。2028年以降にようやく合理的な価格への回帰が可能との予測が業界コンセンサスとなっており、少なくとも1年半から2年以上の長期戦を覚悟する必要があります。

スポット市場と契約価格の逆転現象

市場の逼迫度を示す重要な指標として、TrendForceは3月4日時点でDRAMスポット価格が契約価格を上回ったと報告しており、これは極度の逼迫状況を示す教科書的なシグナルです。スポット市場で調達している企業は価格上昇の全負荷を負っており、DDR4についてはハイパースケーラーがHBM3eに支払う価格よりも高額という異常事態も発生しています。

クラウドコストへの波及と予算への影響

メモリ価格上昇は、自社調達だけでなくクラウド利用コストにも波及しています。北米ハイパースケーラーが2026年1月時点でLTA(長期契約)交渉を継続中であり、AWS、Azure、GCPがこれらのコストを直接転嫁するかは注視すべき問題となっています。

クラウドインフラコストはQ3 2026以降にメモリコスト緩和に伴い低下するが、部品価格緩和とクラウドプロバイダー料金削減の間には6-12ヵ月のタイムラグが予想され、ベースケースではQ1-Q2 2027に意味のあるクラウド料金削減が実現する見込みです。

情シスが今すぐ検討すべき3つのアクション

1. 調達タイミングの戦略的再設計

Q4 2025中の緊急調達が可能であればロックイン、Q1 2026の発注は不可避なもののみに限定し、大規模調達はQ3 2026を計画、その他は2027年への延期を検討することが推奨されます。Q1 2026の価格急騰(55-60%のDRAM上昇予測)前に重要なメモリとサーバーのニーズを購入し、裁量的な購入はH2 2026の安定化まで待機する戦略が有効です。

2. 予算モデルの根本的見直し

シナリオ重み付き予算策定(20% × ベストケースコスト + 60% × ベースケースコスト + 20% × ワーストケースコスト)を採用し、2026年予算では40-50%のDRAM コスト増加を加重平均として計画に組み込む必要があります。

3. サプライヤー関係と契約戦略の強化

サプライヤーとの長期アロケーション契約確保と、ジャストインタイム モデルを超えた戦略的バッファー在庫への移行、価格動向・アロケーション状況・ロードマップ変更の四半期単位ではなく週単位での追跡が重要です。大きな交渉力を持たない小規模顧客は時間分散購入により痛みを軽減し、価格上昇時は一部のみが影響を受け、2026年後半に価格が下落すれば残り注文で恩恵を受ける戦略も検討できます。

RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門の調達パートナーとの関係構築は、このような市場環境下では特に価値を発揮します。専門業者は在庫確保や価格変動の先読み、代替品提案において一般的なディストリビューターを上回る対応力を提供できるためです。

メモリ価格の構造的上昇は、IT部門にとって過去に例のない挑戦となっています。短期的な価格正常化を待つのではなく、新しい価格水準を前提とした戦略的調達アプローチへの転換が急務となっています。