サーバーDRAM価格が記録的急騰を予測
市場調査会社TrendForceは、Q1 2026のサーバーDRAM契約価格が前四半期比90%上昇という史上最大の増加を記録すると予測している。これに伴い、従来DRAM契約価格の予測も55-60%から90-95%へ大幅に上方修正されており、メモリ市場の逼迫度が想定を大きく上回っていることが明らかになった。
DRAM製造各社が先進プロセスノードと新規生産能力をサーバーDRAMと高帯域幅メモリ(HBM)に集中配分している結果、他の用途向け供給が著しく制限され、DRAM市場全体の価格上昇を招いている。
AI需要による構造的な供給不足
AIサーバーとエンタープライズAI環境が従来の消費者向けデバイスよりもシステム当たり大幅に多くのメモリを必要とし、AI加速器で使用されるHBMへの製造リソース移転が進んでいる。HBMはDDR5の約3倍のウエハー容量を消費するため、不足を深刻化させている。
OpenAIが2025年契約でSamsungとSK hynixから全世界DRAM生産量の40%を確保したことが象徴的で、北米のクラウドサービスプロバイダーが2025年後期から年次長期DRAM協定の交渉を継続し、限定供給を巡る購買者間の激しい競争が発生している。
企業の調達戦略への影響と対策
予算への即座の影響
2026年予算では、Q1-Q2調達でDRAMコストの40-50%増加をシナリオ加重平均として計画する必要がある。HPがQ1 2026決算説明会で、メモリコストがPC部材費の35%を占め、前四半期の15-18%から倍増したと発表しており、製造業全体でコスト構造の根本的変化が起きている。
Dell、HP、Lenovo、HPEが約15%のサーバー価格上昇を実施し、DDR5 64GB RDIMMモジュールは2026年末までに2025年初頭の2倍のコストになる可能性があると警告されている。
調達タイミングの戦略的重要性
IT・調達リーダーにとって価格正常化を待つことは実行可能な戦略ではなく、リスクの高い賭けとなっている。Gartnerはサーバー DRAM コストがQ3 2026に供給改善により13%低下すると予測しているものの、全体的なDRAM価格はQ1 2026にピークを迎え、2027年後期から2028年初頭まで有意義な正常化は期待できない状況だ。
SamsungとSK Hynixが最大4年の複数年DRAM供給契約を締結しているように、契約コミットメントの非柔軟性とスポット価格ボラティリティのトレードオフで、不足期間中は価格差より供給アクセス確保の方が重要となっている。
DDR4とDDR5の二重の課題
DDR4のEOL加速
SamsungがQ3 2025、MicronがQ4 2025にDDR4生産を終了し、DDR4価格が年初来38-43%上昇している。DDR4は全DRAM市場の20%に過ぎず、製造各社がもはや優先していない状況で、レガシーシステム運用企業にとって深刻な問題となっている。
2025年10月に60-90ドルで入手できた32GB(2x16GB)DDR4メモリキットが、2026年1月には150-180ドルへ価格上昇し、2026-2027年までレガシーインフラを維持する場合はDDR4在庫確保が必要な状況だ。
DDR5の供給制約
DDR5需要は新プラットフォームで加速しており、グラフィックスとモバイルメモリと生産能力を競合するため、より速い価格上昇を引き起こしている。DDR5価格は少なくとも2026年前半まで上昇が予測され、特にサーバーモジュールでの上昇が顕著となっている。
情シスが今すぐ検討すべき3つのアクション
1. 緊急予算確保と契約見直し
現在進行中のサーバー調達プロジェクトの予算を40-50%増で再計算し、経営層への緊急報告を実施する。Dell、Lenovo、HPから即座に見積もりを取得し、予算根拠作成に活用する。既存の年間契約がある場合は、価格改定条項の確認と更新交渉の前倒しを検討する。
2. 調達先分散と在庫戦略の策定
承認メモリ構成数を制限し、不足時の代替品(容量ティア、モジュールタイプ、承認OEMオプション)を事前特定する。故障率の高い重要コンポーネントの在庫確保を進める。RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つDRAM専門調達パートナーとの関係構築も、供給途絶リスクの軽減に有効だ。
3. 中長期リプレース計画の再策定
調達チームは12-24ヶ月の需要予測、新規構築でのDDR5標準化、レガシーシステム用DDR4早期購入、専門サプライヤーとの密接な連携による重要SKU確保を実施する。更新タイムライン、供給リスク、予算トリガーの共有ビューを作成し、状況に応じて何を加速・延期・標準化するかのランブック作成が必要だ。
価格正常化は2027年後期から2028年初頭まで期待できない現状で、情シス部門は従来の「安くなるまで待つ」戦略から「計画的な先行投資」へのパラダイムシフトが求められている。メモリ調達は、もはや戦術的な購買ではなく戦略的な経営判断の領域に入ったと言えるだろう。