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技術動向

Q. DDR6でJEDECがCAMM2フォームファクターの採用を推進し、DDR5が「最後のDIMM世代」となる可能性――情シスのPC・サーバー調達設計はDIMM→CAMM2の断絶にいつ備えるべきか? A. DDR6/CAMM2対応プラットフォームの商用出荷は2028年が本命であり、2026〜2027年のDDR5 DIMM調達を「最終世代」として在庫・互換性戦略を再構築すべきである

RAMEXperts™️ 編集部

DDR6とCAMM2とは何か――「最後のDIMM世代」が意味すること

DDR6とは、JEDECが策定中の次世代DRAM規格であり、DDR5の後継として8,800MT/s〜最大17,600MT/sの転送速度を実現する。DDR5の2×32ビット・サブチャネル構成に対し、DDR6では4×24ビット・サブチャネル構成に刷新され、並列処理性能と帯域効率が大幅に向上する。そして情シスにとって最も重大な変更は、物理フォームファクターの刷新である。JEDECはDDR6時代に向けてCAMM2(Compression Attached Memory Module 2)フォームファクターの開発を推進しており、従来のDIMM/SO-DIMMに代わる主要フォームファクターとなる可能性が高い。CAMM2とは、薄型基板をネジ固定する圧縮接続方式のモジュール規格であり、もともとDellが提案しJEDECが2023年12月に正式標準化したものだ。DDR6でCAMM2が主要フォームファクターとして採用されれば、DDR5は「DIMMスロットを使う最後のメモリ世代」となる可能性がある。

DDR6/CAMM2の開発スケジュール――メーカー間に最大2年の幅

2026年6月13日時点で、DDR6の開発は「プロトタイプ完了・プラットフォーム検証段階」にある。JEDECは2024年末にDDR6ドラフト仕様を完成させ、2025年Q3にはLPDDR6規格(JESD209-6)を正式発行した。Samsung、SK hynix、Micronの3社はいずれもプロトタイプチップの設計を完了し、IntelおよびAMDとプラットフォームレベルのインターフェース検証を進めている。

ただし商用出荷の時期についてはメーカー間で見解に幅がある。TrendForceは2027年の量産採用開始を報じており、一方でTechPowerUpは2028年の商用出荷を本命とする見方を掲載している。Micronのロードマップでは2028年までの計画にDDR6が明示的に含まれておらず、2029年以降となる可能性も指摘されている。情シスの調達計画においては、「DDR6対応プラットフォームが法人PC・サーバーに本格展開されるのは早くて2028年、安全マージンを取れば2029年」という前提で設計するのが妥当だ。

DDR5とDDR6の主要仕様比較

項目DDR5(現行世代)DDR6(次世代)
転送速度4,800〜8,400 MT/s8,800〜17,600 MT/s
サブチャネル構成2×32ビット4×24ビット
フォームファクターDIMM / SO-DIMMCAMM2 / LPCAMM2(予定)
電圧1.1V1.0V(予定)
法人向け量産見込み2021年〜現行2028〜2029年

LPCAMM2がノートPC市場で先行する理由と情シスへの影響

DDR6/CAMM2の本格展開を待たずに、すでにLPCAMM2(Low Power CAMM2)がノートPC市場で先行採用されている点は注目に値する。LPCAMM2とは、LPDDR5Xメモリをモジュール化したCAMM2の低電力版であり、従来のオンボードはんだ付けLPDDRと異なり、ユーザーやIT部門による交換・増設が可能な設計だ。128ビット・デュアルチャネル構成で最大8,533MT/s(Micron製は9,600MT/s)の速度を実現し、SO-DIMMと比較してZ-height(厚さ)を最大57%削減できる。

Lenovoは2026年モデルのThinkBook 14+/16+でIntel Core Ultra Series 3とLPCAMM2の組み合わせを採用し、主流コンシューマーノートPCとしては初のLPCAMM2搭載機となった。Samsungも96GB・9,600MT/sのLPCAMM2モジュールを発表しており、Micronの既存ラインナップ(最大64GB・9,600MT/s)を容量面で上回る。

情シスにとっての実務的な意味は、2026年後半〜2027年に調達するノートPCの一部がLPCAMM2搭載機になる可能性が高いという点だ。従来のSO-DIMMとLPCAMM2は物理的に互換性がないため、既存の予備メモリ在庫は流用できない。増設・交換用の在庫管理体制を、SO-DIMM世代とLPCAMM2世代の「二系統」に分離する準備が必要となる。

DDR5 DIMM「最終調達ウィンドウ」の考え方

DDR5がDIMM形式の最終世代となる可能性が高いという見方は、中長期の在庫戦略に直接影響する。2026年6月時点でDDR5契約価格はQ2に前四半期比58〜63%上昇しており、Q3・Q4も上昇トレンドの継続が予測されている。価格正常化の時期は複数の予測機関が2027年以降と見ており、ベースケース(確率60%)でもQ3 2026に緩和が始まりQ1〜Q2 2027に正常化するシナリオが示されている。

一方で、DDR6/CAMM2への移行が2028年以降に本格化すれば、DDR5 DIMMは「現行世代」として少なくとも2027年末まで主力であり続ける。この期間はDIMM規格の需要が集中するため、供給が逼迫しやすい構造が維持される。DDR4がEOL(End of Life:製品の生産・サポート終了)に向かう過程で価格が高止まりしたのと同様に、DDR5 DIMMもDDR6/CAMM2移行期に供給縮小と価格上昇を経験する可能性が高い。

情シスが検討すべき「最終調達ウィンドウ」の設計ロジックは以下のとおりだ:

  • 2026年Q3〜Q4:価格高騰の最中だが、DIMM規格の安定供給が確保できる最後の「通常調達期」。必要量の確保を優先
  • 2027年:価格緩和の可能性があるが、メーカーのDDR6シフトに伴いDIMM生産ラインの縮小が段階的に始まる時期。コスト最適化を狙うならこの時期が候補
  • 2028年以降:DDR6/CAMM2対応プラットフォームが法人市場に投入される。DIMM規格の新規調達は「レガシー調達」に分類される見込み

Micron Q3 FY26決算(6月24日)が示す価格シグナル

DDR6の技術的ロードマップとは別に、足元のDRAM市場動向として注目すべきイベントがある。Micron Technologyは2026年6月24日に2026会計年度Q3決算を発表する予定だ。Wall Streetのアナリスト予想では、売上高は約346.6億ドル、EPSは約19.95ドルと、AIデータセンター向けHBMとDRAMの需要爆発を背景にした大幅増収増益が見込まれている。なお、Micron自身のガイダンス中央値は売上高335億ドル(±7.5億ドル)、Non-GAAP EPS 19.15ドル(±0.40ドル)であり、アナリスト予想はガイダンスを上回る水準となっている。

前四半期(FQ2-26)の実績は、売上高238.6億ドル(前四半期比+75%、前年同期比+196%)、Non-GAAP EPS 12.20ドルで過去最高を更新した。CEOのSanjay Mehrotra氏は「AI時代において、メモリは顧客にとっての戦略的資産となった」と述べ、Q3でも大幅な記録更新を見込むとガイダンスで示した。

情シスにとってこの決算が重要な理由は、Micronのガイダンスと業界見通しコメントが、Q3〜Q4のDRAM契約価格の方向性を示す先行指標となるからだ。特に、同社が言及する「カレンダー2026年のDRAMビット出荷量は前年比20%台前半の成長」という供給見通しは、需要の伸びに対して供給が追いつかない構造が年内続くことを示唆している。調達予算の上振れリスクを上長に説明する際、この決算データは有力なエビデンスとなる。

情シスが検討すべき3つのこと

  • 1. DDR5 DIMMの「世代寿命」を調達計画に組み込む:DDR5がDIMM形式の最後の世代となる可能性が高いことを前提に、2027年末までの必要量を棚卸しし、段階的な確保計画を策定する。DRAM専門の調達パートナーに現行DIMM規格の中長期供給見通しを確認することも有効だ
  • 2. LPCAMM2対応ノートPCの評価検証を開始する:2026年後半に調達予定のノートPC候補にLPCAMM2搭載機が含まれるかを確認し、含まれる場合はSO-DIMM在庫との互換性断絶を前提にした在庫管理体制の二系統化を計画する
  • 3. 6月24日のMicron決算をDRAM価格の「次のシグナル」として監視する:同社のQ3実績・Q4ガイダンス・年間供給見通しは、下半期の契約価格の方向性を占う最重要データポイントとなる。決算後の価格動向を見極めつつ機動的な追加発注の体制を整えておくことを推奨する

よくある質問

Q: DDR6はDDR5と物理的に互換性がありますか?

A: いいえ。DDR6はCAMM2コネクターを主要フォームファクターとして採用する方向で開発が進んでおり、DDR5のDIMM/SO-DIMMスロットとは物理的に互換性がない見通しだ。DDR5対応マザーボードにDDR6モジュールを装着することはできず、逆も同様である。これは過去のDDR3→DDR4、DDR4→DDR5の世代交代と同じ「物理的断絶」だが、今回はスロット形状そのもの(DIMMからCAMM2)が変わる点でより大きな変更となる可能性がある。

Q: LPCAMM2のノートPCは今買っても大丈夫ですか?

A: LPCAMM2はJEDEC標準規格であり、技術的には成熟している。Lenovoが2026年モデルのThinkBookシリーズで採用を開始しており、LPDDR5Xベースで最大9,600MT/sの転送速度を実現する。ただし、LPCAMM2モジュールの市場流通量はSO-DIMMと比較してまだ限定的であり、増設・交換用モジュールの調達リードタイムが長くなる可能性がある。導入前に交換用モジュールの供給チャネルを確認しておくことを推奨する。

Q: DDR5 DIMMの価格はいつ下がりますか?

A: 複数の予測機関が収斂するベースケース(確率60%)では、2026年Q3に価格緩和が始まり、2027年Q1〜Q2に正常化するシナリオが示されている。ただし「正常化」とは2024年以前の絶対価格水準への回帰ではなく、四半期ごとの変動が予測可能な範囲に収まることを意味する。AI向けHBM生産がウエハーを優先消費する構造が続く限り、汎用DDR5 DIMMの価格は従来の底値を大幅に上回る水準で推移する見通しだ。