「まさか、これほどとは…」― 情シス担当者を震撼させる価格予測の急上昇
来期のサーバー増設計画、PC一斉リプレース、社内システムの更新——その見積もり、本当に今のままで大丈夫でしょうか?
DRAM業界のウォッチャーとして権威あるTrendForceが2月に発表した最新予測は、多くの情シス担当者にとって悪夢のような内容でした。当初55-60%と予想されていたDRAM契約価格の上昇率が、わずか1ヶ月で90-95%へと大幅上方修正されたのです。
特にPC DRAM については105-110%の価格上昇が予測されており、事実上の価格倍増という異常事態に突入しています。これは記録開始以来最大の四半期上昇率で、AI需要とデータセンター需要の拡大により、メモリ供給メーカーの価格決定権が著しく強化された結果です。
なぜ今、メモリ価格が「暴走」しているのか
この価格急騰の背景には、3つの構造的要因が複雑に絡み合っています。
1. AI特需による生産ラインの大移動
Samsung は2026年に生産能力を約50%拡大、SK Hynixは8倍の生産増強を計画していますが、その大部分は利益率が数倍高いHBM(高帯域メモリ)向けで、汎用DRAM の生産ラインは後回しにされています。
実際、SK Hynixは2026年のDRAM、NAND、HBM生産能力がすでに完売状態で、主要顧客のNVIDIAとの契約により新規受注が困難な状況です。
2. 想定外のPC出荷増による在庫枯渇
2025年Q4のPC出荷台数が予想を大幅に上回り、Tier1 PC OEMでさえ在庫水準が急速に低下しています。Windows 10サポート終了による企業の駆け込み需要が、供給不足に拍車をかけました。
3. メーカーの戦略的減産継続
Micronが消費者向けCrucialブランドの出荷を2026年2月で完全停止すると発表。利益率の高いAI向け製品に生産リソースを集中させる「供給の選別」が業界全体で進行中です。
企業の情シス部門への具体的インパクト
この価格急騰は、企業のIT調達に以下の直接的影響をもたらします:
- サーバー調達コスト:サーバーDRAM価格は60%以上上昇、企業向けSSDも53-58%値上がり
- PC一斉更新:DDR5搭載PCは2.83-3.0倍のコスト増、予算の大幅見直しが不可避
- 長期契約への影響:契約価格交渉が2月末まで継続中で、さらなる値上げの可能性
特に注意すべきは、大手OEMは長期契約により短期価格変動の影響を受けにくい一方で、中小企業や個別調達では価格上昇がより深刻になることです。
2026年の見通し:「まだ序章」という厳しい現実
業界専門家は価格ピークが2026年後半で、正常化は早くても2027年以降と予測しています。2026年上半期にさらに40-50%の追加値上がりも想定され、企業は長期戦への覚悟が必要です。
RAMEXperts™️のような60万5,000品の取扱実績を持つ専門調達パートナーでさえ、「現在の市況では従来の価格予測モデルが通用しない」と警鐘を鳴らす異常な状況が続いています。
情シスが今すぐ検討すべき3つの緊急対策
1. 調達計画の即座見直し
- Q2-Q3予定の機器調達を可能な限りQ1に前倒し
- 2026年度IT予算を30-50%上方修正
- 長期リース契約への切り替え検討
2. 在庫戦略の根本的転換
- 予備機・交換用メモリの戦略的備蓄
- DDR4機器の延命使用によるDDR5移行の段階化
- 中古・リファビリッシュ品の活用拡大
3. ベンダー関係の再構築
- 複数サプライヤーとの長期供給契約締結
- メモリ専門商社との直接取引関係構築
- グループ会社間での共同調達体制確立
パソコンショップや BTO メーカーも在庫確保に動いており、現在が「最後の低価格窓口」となる可能性が高まっています。情シス担当者は、従来の「待てば安くなる」という常識を捨て、積極的な先行投資に舵を切る決断が求められています。