DRAMメモリ用語集
30秒で分かるポイント
サーバーメモリの選定・トラブル対応に必要な用語をアルファベット順で解説しています。分からない用語があればここで確認してください。ブラウザの検索機能(Ctrl+F / Cmd+F)で目的の用語を素早く見つけられます。
用語一覧(アルファベット順)
CAS Latency(CL)
Column Address Strobe Latencyの略。メモリコントローラがデータの読み出し要求を出してから、実際にデータが出力されるまでの遅延サイクル数を表します。例えば「CL16」はデータ出力まで16クロックサイクルの遅延があることを意味します。
数値が小さいほど低遅延(CL14はCL16より速い)ですが、サーバー用途では1枚あたりのレイテンシよりも、メモリ帯域幅(全体のデータ転送能力)の方が性能に影響する場合が多いです。同じ転送速度であればCLが低い方が有利ですが、CLの違いだけで製品を選ぶ必要は通常ありません。
DDR(Double Data Rate)
メモリの動作方式の名称。クロック信号の立ち上がり(rising edge)と立ち下がり(falling edge)の両方でデータを転送する方式です。これにより、クロック周波数の2倍のデータ転送速度を実現します。
DDRの後に続く数字が世代を表し、DDR4、DDR5と世代が進むごとにデータ転送速度と電力効率が向上しています。各世代間に物理的な互換性はなく、スロットのキー溝の位置が異なるため誤挿入は防止されています。
DDR4
第4世代のDDR SDRAM規格。2014年頃から普及が始まり、現在も多くのサーバーで使用されている主力規格です。
- 動作電圧: 1.2V(DDR3の1.5Vから省電力化)
- 最大転送速度: 3200MT/s [要確認]
- モジュールあたり最大容量: 256GB(LRDIMM)[要確認]
- ピン数: 288ピン
DDR5とは物理的な互換性がないため、DDR4スロットにDDR5モジュールを挿すことはできません。サーバー購入時にDDR4/DDR5のどちらに対応しているかを確認してください。
DDR5
第5世代のDDR SDRAM規格。2021年頃から登場し、新世代サーバーで採用が進んでいます。
- 動作電圧: 1.1V(DDR4からさらに省電力化)
- 最大転送速度: 6400MT/s以上 [要確認](今後さらに高速化予定)
- モジュールあたり最大容量: DDR4より大容量化が可能
- ピン数: 288ピン(DDR4と同じピン数だがキー溝の位置が異なる)
- 新機能: オンダイECC(DIMM内部での追加エラー訂正)、デュアルチャネルアーキテクチャ(1モジュール内に2つの独立チャネル)
DDR4とは物理的に互換性がありません。DDR5対応サーバーにはDDR5メモリのみ使用可能です。
DIMM(Dual Inline Memory Module)
メモリチップ(DRAMダイ)を基板(PCB)上に実装したメモリモジュールの形態です。基板の表裏で独立した端子を持つため「Dual Inline」と呼ばれます。サーバーではマザーボード上のDIMMスロットに挿して使用します。
サーバー向けDIMMにはRDIMM、LRDIMM、UDIMMなど複数の種類があり、サーバーの仕様に合ったタイプを選ぶ必要があります。異なるタイプのDIMMの混在は原則として不可です。
ECC(Error Correcting Code)
誤り訂正符号。メモリに格納されたデータのビットエラーを自動的に検出・修正する機能です。サーバー用メモリには原則としてECC機能が搭載されています。
- 1ビットエラー: 自動検出・自動修正(Correctable Error = CE)。システムは稼働を続けられる。
- 2ビット以上のエラー: 検出は可能だが修正は不可(Uncorrectable Error = UE)。システムクラッシュやデータ破損のリスクがある。
ECCメモリはデータ8ビットごとに1ビットの冗長ビットを追加して格納するため、通常のメモリより若干のオーバーヘッドがあります。しかし、サーバーのデータ整合性を守るために不可欠な機能です。デスクトップPC用のnon-ECCメモリをサーバーに使用することは推奨されません。
EOL(End of Life)
製品の製造終了(生産中止)を意味します。メーカーが特定のメモリモジュールの製造を停止することを指し、EOL後は流通在庫が無くなり次第入手不可能になります。
EOLがアナウンスされたメモリを使用しているサーバーがある場合、交換用・増設用の在庫を早期に確保する必要があります。EOL後にスポット市場で調達する場合は、価格高騰やリマーク品リスクがあるため注意が必要です。互換品や後継品への移行も検討してください。
HBM(High Bandwidth Memory)
3Dスタック構造の広帯域メモリ。複数のDRAMダイを縦に積み重ね、シリコンインターポーザ上でGPUやAIアクセラレータと接続する形態です。
通常のDIMMとは物理的な形状・接続方式・用途が根本的に異なり、主にGPU(NVIDIAなど)やAIアクセラレータに搭載されます。サーバーのDIMMスロットに挿すタイプのメモリではないため、一般的なサーバーメモリの選定・調達では直接関係しません。ただし、AI/GPU関連の用途ではHBMの容量・帯域幅が性能に大きく影響します。
JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)
DDRメモリを含む半導体の国際標準規格を策定する業界団体です。DDR4やDDR5の規格仕様(電気的特性、タイミング、物理寸法など)はJEDECが定めています。
「JEDEC準拠品」とは、JEDECが定めた規格試験をパスした製品を意味し、異なるメーカーのメモリでも互換性が保証されます。サーバー用途では、JEDEC準拠品を使用することで互換性トラブルのリスクを大幅に低減できます。
LRDIMM(Load Reduced DIMM)
負荷軽減バッファ(データバッファ)を搭載したDIMMです。RDIMMのレジスタ(アドレス/コマンド信号のバッファ)に加えて、データ信号のバッファも搭載することで、1スロットあたりの搭載容量を大幅に拡大できます。
- 用途: 大容量メモリ構成が必要なサーバー(128GB/スロット以上など)
- メリット: 電気的負荷が軽減されるため、多数のDIMMを搭載しても信号品質が維持される。大容量化が可能。
- デメリット: RDIMMより高価。データバッファを経由するためわずかにレイテンシが増加する。
RDIMMとLRDIMMは同一チャネルに混在できません。サーバーのメモリ構成ではどちらかに統一する必要があります。
MT/s(MegaTransfers per second)
1秒あたりのデータ転送回数を百万(Mega)単位で表した指標です。DDRメモリではクロック周波数の2倍の値になります(Double Data Rateのため)。
例えば、DDR4-3200はクロック周波数1600MHzで動作し、データ転送速度は3200MT/sです。メモリの「速度」を比較する際は、このMT/sの値を使うのが正確です。「MHz」表記はクロック周波数のみを示すため、実効的な転送速度と混同しないよう注意してください。
QVL(Qualified Vendor List)
サーバーメーカー(HP、Dell、Lenovoなど)が実機で動作検証を行ったメモリの一覧です。メーカーのサポートサイトからサーバーモデルごとのQVLをダウンロードできます。
QVLに掲載されているメモリを使用すると、互換性の問題が発生するリスクが大幅に低減されます。QVLに掲載されていないメモリも動作する場合がありますが、問題が発生した場合にサーバーメーカーのサポートを受けられない可能性があります。メモリ選定時には、まずQVLを確認することを推奨します。
Rank
メモリモジュール内でデータバスに同時にアクセスするチップのグループを指します。1つのRankは64ビット幅(ECC付きの場合72ビット幅)のデータバスを構成するチップの集合です。
- 1R(Single Rank): チップ1グループ。低容量DIMMに多い。
- 2R(Dual Rank): チップ2グループ。中容量DIMMで一般的。
- 4R / 8R: 大容量DIMMで使用。
サーバーのCPU(メモリコントローラ)には、1チャネルあたりのRank数に上限があります [要確認]。例えば「1チャネルあたり最大8 Rank」の場合、2R DIMM x 2枚(4 Rank)は可能ですが、4R DIMM x 2枚(8 Rank)は上限ぎりぎりです。Rank数が上限に近づくと動作速度が低下する場合もあります。メモリ増設時にはRank構成も考慮してください。
RDIMM(Registered DIMM)
レジスタ(バッファICチップ)を搭載したDIMMです。アドレス信号とコマンド信号をレジスタで中継することで信号の安定性を高め、多数のDIMMを搭載するサーバー環境に適しています。
- 用途: サーバーで最も一般的に使用されるDIMMタイプ。
- メリット: 信号安定性が高く、多スロット構成でも安定動作する。UDIMMより大容量構成が可能。
- デメリット: UDIMMよりわずかにレイテンシが増加する(レジスタを経由するため1クロック分)。UDIMMより高価。
RDIMMとUDIMMは物理的にはスロットに挿さる場合がありますが、同一サーバー内での混在は不可です。サーバーの仕様がRDIMMを要求している場合はRDIMMのみ使用してください。
RMA(Return Merchandise Authorization)
メーカーやベンダーへの返品・交換手続きのことです。保証期間内のメモリに故障が発生した場合、RMA番号を取得して故障品を返送し、代替品を受け取る流れが一般的です。
RMA手続きの詳細(送料負担、処理期間、先出し交換の有無)はメーカー・ベンダーにより異なります。調達時にRMA条件を確認しておくと、故障時の対応がスムーズになります。
SPD(Serial Presence Detect)
DIMM上に搭載された小さなEEPROM(不揮発性メモリ)に記録されたメモリモジュールの仕様情報です。以下の情報が格納されています。
- メーカー名、型番、シリアル番号
- 容量、速度(MT/s)、CAS Latency
- 動作電圧、Rank構成
- 製造日、製造工場コード
BIOSはサーバー起動時にSPD情報を読み取り、メモリの動作パラメータを自動設定します。OS上でもCPU-Z(Windows)やdmidecode(Linux)などのツールでSPD情報を読み取ることができ、メモリの真贋確認や仕様照合に活用できます。
UDIMM(Unbuffered DIMM)
レジスタ(バッファ)を搭載していないDIMMです。信号がメモリコントローラからDRAMチップに直接伝送されます。
- 用途: 主にデスクトップPC、ワークステーション向け。サーバーでは少スロット構成の一部モデル(タワー型サーバーなど)で使用される場合がある。
- メリット: レジスタを経由しないためレイテンシが低い。RDIMMより安価。
- デメリット: 多スロット構成での信号安定性が低い。搭載可能な最大容量がRDIMMより少ない。
多くのラックマウントサーバーやブレードサーバーはRDIMM/LRDIMMのみ対応のため、UDIMMは使用できません。サーバーの仕様書で対応DIMMタイプを確認してください。
※ 本用語集の仕様値(転送速度、電圧など)は一般的な値です。製品により異なる場合があります。最新の仕様はメーカーの公式データシートをご確認ください。