DDR4のEOLとは何か――「最終購入(LTB)」の期限が2026年内に集中する
DDR4のEOL(End of Life:製造終了)とは、メーカーがDDR4製品の生産と供給を段階的に終了する工程を指す。2026年8月14日時点で、その最終局面が具体的な日付として動き出している。報道によれば、Micronは2025年に主力のDDR4とLPDDR4についてEOLを通知済みで、汎用のPC・サーバー向けの主要な出荷は2026年前半にかけて縮小するとされる。対象はPC向けとサーバー向けの両方に及ぶ。さらにMicronは選定したDDR4モジュール(Z41C/Z42B系のソリューション品番)についても製品廃止通知を出しており、その最終購入(LTB:Last Time Buy、EOL製品を最後に発注できる期限)は2026年7月30日、最終出荷は2026年12月31日とされる。
LTB(最終購入)とは、EOL対象品を追加発注できる最終期限であり、この日を過ぎると新規の手配が原則できなくなる。Micronは自動車・産業機器・ネットワーク機器といった長寿命市場の顧客に対しては供給を継続すると報じられているが、汎用のPC・サーバー向けは縮小方向にある。
主要3社の動きは足並みがそろっている。SK hynixはDDR4の生産を2026年第1〜第2四半期に終える計画とされ、Samsungは2025年4月に大半の旧世代DDR4の段階的な製造終了を公表した。Samsungの品種別LTB期限は2026年10月〜2027年3月とされ、密度やパッケージによって期限が異なる。ただしSamsungはサーバー顧客向けにNCNR(キャンセル・返品不可)契約を結び、DDR4の完全終息を後ろ倒しにしたとの報道もあり、供給が続く品種と絞られる品種が分かれつつある。
なぜ情シスに影響するのか――DDR4資産の「調達断絶」リスク
結論から言えば、DDR4を搭載した既存サーバーやPCを使い続ける情シスは、増設・保守用モジュールの入手可否を早期に確認する必要がある。EOLとLTBは価格の問題であると同時に、「そもそも買えなくなる」在庫断絶の問題だからである。
DDR4(Double Data Rate 4)とは、2014年前後から普及したDRAMの世代規格で、現在も稼働中の多くのサーバー・PCの標準メモリである。一方でサーバー向けの主役はすでにDDR5へ移りつつあり、TrendForceはDDR5の搭載比率がさらに高まる2026年にはサーバー市場のDDR4需要が段階的に和らぐと見込んでいる。新規プラットフォームではDDR5が事実上の標準になっている。
問題は、DDR4とDDR5でCPU・マザーボードの世代が分かれる点にある。IntelのXeon Sapphire Rapids(第4世代)やAMDのEPYC Genoa(9004シリーズ)以降のサーバーCPUはDDR4対応を打ち切り、DDR5専用になっている。つまりDDR4資産の延命は既存プラットフォーム上でしか行えず、更改はCPU・基盤ごとのDDR5移行を意味する。RDIMM(Registered DIMM:サーバー向けにバッファを備えたメモリモジュール)の互換性も世代で切り替わるため、既存在庫の使い回しはできない。
DDR4延命とDDR5移行の違い――コストと期限で比較する
2026年8月14日時点で、DDR4は「値上がりしつつ、入手も細る」二重の圧力下にある。DDR4の8Gb品の契約価格は2026年第3四半期に前四半期比で50%超の上昇が見込まれると報じられ、主因はデータセンターのエンタープライズSSD需要とされる。DDR4は旧世代でありながら、供給縮小で品薄・高値が続く珍しい局面にある。
| 観点 | DDR4延命(現行機を維持) | DDR5移行(更改) |
|---|---|---|
| 調達期限 | Micronの選定DDR4モジュールのLTBは2026年7月30日、最終出荷は2026年12月31日。Samsungは品種により2026年10月〜2027年3月 | 期限の縛りは弱いが、DDR5自体も逼迫 |
| 価格動向 | DDR4 8Gbは2026年Q3に+50%超(前期比) | DDR5もサーバー向けで逼迫が継続 |
| CPU・基盤 | 既存プラットフォームを継続利用 | Sapphire Rapids/EPYC Genoa以降のDDR5専用世代へ更改 |
| 供給の持続性 | 8Gb DDR4の品薄は最長2年続くとの見方 | 新世代として供給の主軸 |
この比較が示すのは、「安く延命できるから待つ」という判断が成り立ちにくくなっている点である。DDR4は旧世代にもかかわらず値上がりし、かつLTB期限で入手経路が細る。一方でDDR5移行はCPU更改を伴うため、予算と検証の準備期間が要る。
今後の見通し――DDR4は「保守専用」フェーズへ
DDR4は2026年時点でライフサイクルの保守専用フェーズに入っており、Micron・Samsung・SK hynixの主要3社がいずれも段階的なEOLへ移行している。これは断定できる事実である。ただし、どの品種がいつ完全に終息するかは、Samsungの例のように大口契約や市場ごとの事情で変動し、出典でも一様ではない。自動車・産業・ネットワーク向けの長寿命品は当面供給が続くとされる一方、汎用PC・サーバー向けは絞り込みが進む。
情シスにとっての現実的な着地点は、「延命か移行か」の二者択一ではなく、資産を分類して期限に合わせて手を打つことである。当面動かせないレガシー機は年内の最終購入で保守在庫を確保し、更改時期が近い機材はDDR5世代への移行計画に組み込む――この切り分けが、2026年後半の調達・更改判断の軸になる。
情シスが確認すべき3つのポイント
- DDR4依存資産の棚卸し: 稼働中のサーバー・PCのうちDDR4搭載機の台数・型番・増設余地を洗い出し、保守に必要な予備モジュールの数量を確定する。
- LTB期限のカレンダー化: Micron(選定DDR4モジュールの最終出荷2026年12月31日)やSamsung(品種別2026年10月〜2027年3月)などメーカー・品種ごとの期限を一覧化し、年内に発注可否を判断する。
- 更改先のDDR5互換確認: 更改候補のサーバーCPU(Sapphire Rapids/EPYC Genoa以降)がDDR5専用である点を前提に、RDIMMの対応規格・速度・容量と予算をベンダーへ事前確認する。
よくある質問(FAQ)
Q: DDR4はもう買えなくなるのですか?
A: 2026年8月14日時点で完全に入手不能になったわけではありません。ただしMicronは選定DDR4モジュールの最終出荷を2026年12月31日とし、Samsungも品種別に2026年10月〜2027年3月のLTB期限を設定しています。汎用PC・サーバー向けは段階的に絞られるため、保守用は年内の確保が現実的です。自動車・産業・ネットワーク向けの長寿命品は当面供給が続くとされます。
Q: DDR4のまま延命するのと、DDR5へ移行するのはどちらが得ですか?
A: 一概には言えません。DDR4は旧世代ながら2026年Q3に前四半期比50%超の値上がりが見込まれ、品薄も最長2年続くとの見方があります。延命はCPU据え置きで済む一方、入手性が低下します。DDR5移行はSapphire Rapids/EPYC Genoa以降のCPU更改を伴うため初期費用は大きいものの、供給の主軸に乗れます。資産ごとに残存年数と期限で切り分けるのが実務的です。
Q: 手持ちのDDR4モジュールをDDR5サーバーに流用できますか?
A: できません。DDR4とDDR5は物理・電気仕様が異なり、スロット互換性がありません。DDR5専用CPU世代への更改では、メモリも新規調達が必要です。