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供給動向

Q. Nanyaが2026年8月に月次売上前年比560.85%増の過去最高――第2集団の増産でDDR4供給は緩む? A. 新工場の量産は2027年下期以降、レガシーは特殊部品化・複数年契約前提に

RAMEXperts™️ 編集部
RAMEXpertsサーバーメモリニュース。供給動向。Nanyaの8月売上高560.85%増とDDR4動向。注目データは前年比560.85%増の売上高。

2026年8月、Nanyaが月次売上で過去最高――何が起きているのか

台湾のNanya Technology(南亜科技)は2026年9月3日、2026年8月の月次連結売上高がNT$447億(約14億ドル)に達し、前年同月比560.85%増の過去最高を記録したと発表した。1〜8月の累計売上高はNT$2,202億(前年比638.19%増)である。牽引役はDDR4を中心とする旧世代DRAMの需給逼迫で、大手3社が生産能力をAI向けHBMや最新世代のDDR5へ振り向けた結果、Nanyaのような第2集団メーカーに需要と価格決定力が集中している。

レガシーDRAM(DDR4/DDR3など旧世代の汎用メモリ)とは、現行の主流であるDDR5より前の規格で、産業機器・組込み・ネットワーク機器・更改前の既存サーバーで今も広く使われるメモリを指す。Nanyaはこの領域を主力とする専業メーカーである。

なぜ第2集団メーカーの好業績が情シスに関係するのか(影響)

結論から言えば、DDR4供給の担い手が大手3社からNanya・Winbondの2社へ急速に集約しているためだ。自社の産業用PC・制御機器・ネットワーク装置・更改前の旧世代サーバーがDDR4/DDR3を使う場合、調達先の選択肢は事実上この台湾2社(および中国CXMT)へ狭まりつつある。

背景にあるのがHBMシフトである。HBM(High Bandwidth Memory)とは、AIアクセラレータ向けにDRAMを積層した広帯域メモリで、同じ容量あたり通常のDRAMより多くのウェハを消費する。Samsung・SK hynix・MicronはこのHBMとサーバー向けDDR5(データセンター用RDIMM=レジスタ付きDIMM)に生産を優先し、利益率の低いDDR4のウェハ割り当てを絞っている。その空いた需要をNanyaとWinbondが吸収している構図だ。

もう一社の台湾勢Winbond(華邦電子)も同様で、2026年通年売上高はNT$1,000億(約33億ドル)に迫る見通しとされ、生産能力は2027年分まで完売している。同社のPei-Ming Chen(陳沛銘)社長は「DDR4の供給ギャップは大きすぎて、どう埋めるのか見通せない」と述べている。DigiTimesは2026年9月7日、Winbond・Macronix・Etronの台湾メモリ勢がそろって8月までの売上を大きく伸ばしたと報じた。

増産でDDR4供給は緩むのか(今後の見通し)

2026年9月10日時点の見通しとして、Nanya・Winbondの増産投資が実際の供給増に効くのは早くても2027年下期以降であり、2026〜2027年前半の逼迫緩和は見込みにくい。

Nanyaは2026年の設備投資枠を34%引き上げ、NT$520億からNT$697億へ拡大した。さらに2026〜2029年で新工場(Fab 5A)にNT$3,466億を投じる計画で、試験生産(ウェハ投入)の開始は2027年下期、量産による出荷寄与は2027年末〜2028年の見込みだ。月産12インチウェハの量産能力は2028年に3万枚、2029年に3万5,900枚(最終的に最大約4万5,000枚)へ引き上げる計画である。NanyaのゼネラルマネージャーLee Pei-ing(李培瑛)氏は、逼迫は少なくとも2027年末まで続くとの見方を示し、顧客は最長3年の長期契約で供給枠の確保を急いでいると説明する。同社の売上に占めるDDR5の比率は約10%にとどまり、LPDDR4の逼迫が最新世代への移行を妨げている。

2026年9月時点で、DDR4を中心とする旧世代DRAMの供給は大手3社からNanya・Winbondへ集約が進んでおり、両社の新規能力が本格的に寄与するのは早くても2027年下期以降である。第2集団メーカーの記録的な好業績は「供給が緩む前兆」ではなく「逼迫が続く前提での価格・数量の上振れ」を映している。DDR4のスポット価格が一部構成でDDR5を上回る逆転現象も、この構造を裏付ける。

Nanya Technologyの主要数値(2026年)

項目内容
2026年8月 月次売上NT$447億(約14億ドル)/前年比+560.85%(過去最高)
1〜8月 累計売上NT$2,202億/前年比+638.19%
2026年 設備投資枠NT$520億→NT$697億(+34%)
新工場(Fab 5A)投資(2026〜2029年)NT$3,466億
試験生産の開始2027年下期
量産寄与2027年末〜2028年(月産能力:2028年3万枚/2029年3万5,900枚/最大約4万5,000枚)
逼迫見通し少なくとも2027年末まで

情シスが確認すべき3つのポイント

  • DDR4/DDR3の該当機器の棚卸し:産業用PC・制御機器・ネットワーク装置・更改前サーバーで旧世代DRAMを使う資産を洗い出し、必要数量と更改時期を確定する。
  • 調達先の集約リスクの評価:DDR4の供給がNanya・Winbondへ集中している前提で、代理店・OEM経由の発注枠と、複数年契約の可否・リードタイム(納期)を確認する。
  • 移行計画の前倒し検討:2027年下期まで供給増が見込めないため、レガシー機の延命に必要な最小数量の早期確保と、更改機のDDR5・互換性前提での設計を並行して進める。

よくある質問

Q: DDR4はいつまで買えますか?

A: 供給自体は2026年9月時点でNanyaやWinbondが継続していますが、両社の能力は2027年分まで完売しており、増産寄与は早くて2027年下期以降です。DDR4は事実上「特殊部品」として、必要数量を早期に、可能なら複数年契約で確保する扱いが現実的です。

Q: 第2集団メーカーの増産で価格は下がりますか?

A: 2026〜2027年前半に価格が下がる材料は乏しいと考えられます。Nanya・Winbondとも能力が完売・満稼働で、新工場の量産寄与は2027年末〜2028年です。値下がり前提ではなく、逼迫継続を前提に予算化するのが妥当です。

Q: 大手3社のDDR4から台湾勢へ乗り換えるべきですか?

A: すでに大手3社はDDR4のウェハ割り当てを縮小しており、実質的な供給の担い手は台湾勢と中国CXMTに移りつつあります。単純な乗り換えより、既存機の延命に必要なDDR4を確保しつつ、更改はDDR5前提で設計する二段構えが有効です。

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