本文へ移動
RAMEXperts™︎ DIMM SPECIALIST
供給動向

Q. AcerがPC用メモリ供給改善を示唆(2026年9月25日)——サーバー増設用DIMMも買いやすくなる? A. 供給は二極化、サーバーは逼迫継続で完成品構成での枠確保が前提

RAMEXperts™️ 編集部

何が起きたのか——AcerとPhisonがDRAM見通しで対立(2026年9月25日)

2026年9月25日時点で、DRAM(PCやサーバーの主記憶に使う揮発性メモリ)の供給は、PC向けとサーバー向けで方向が分かれ始めている。DigiTimesは同日、PC大手のAcerと半導体コントローラ大手のPhison Electronicsが、DRAM市場の読みで正反対の見解を示したと報じた。

Acerは主流のPC向けメモリの供給が改善に向かうとの見方を示し、PCの販売価格は2026年第4四半期(Q4)に5〜20%上昇した後、2027年半ばにピークを打ち、CXMTやYMTCなど中国勢の新規生産能力が立ち上がる2027年後半にかけて緩むと見込む。一方でPhisonのCEOであるPua Khein-Seng(プア・ケインセン)氏は、この供給難はまだ初期段階で、需要はPCの範囲をはるかに超えて広がっていると反論した。同氏は「金を積んでも買えないことがある」「苦しんでいないのはAcerくらいに見える」と述べ、メモリメーカーの内部試算では逼迫が2030年まで続くとの見方を紹介している。

供給の二極化とは——PC用は緩み、サーバー用は逼迫が続く

結論から言えば、2026年9月時点で緩和の兆しが見えているのはPC向けDRAMに限られ、サーバー向けDRAMの逼迫は続く見通しだ。両社の見解が割れたのは、見ている市場が違うためである。Acerが語るのはノートPCやデスクトップ向けの汎用メモリで、ここは消費者の購買力の限界から需要が頭打ちになりつつある。対してPhisonが指すのは、AIサーバーやデータセンターが牽引する高付加価値メモリの世界だ。

サーバー向けの主力はRDIMM(Registered DIMM=サーバー用に信号を安定化させたメモリモジュール)で、その多くがLTA(Long-Term Agreement=複数年の長期供給契約)でクラウド事業者に押さえられている。TrendForceは、サーバー向けDRAMの契約価格は上げ幅こそ縮むものの2027年後半まで四半期ごとに上昇を続けると見込む。背景には、メーカーがウエハーをHBM(High Bandwidth Memory=AIアクセラレータ向けの積層型広帯域メモリ)や高速サーバーメモリに優先配分し、汎用DRAM向けのダイが押し出される「玉突き」がある。HBMや高速サーバーメモリが新規のウエハー配分の多くを吸収する一方、Samsung・SK hynix・Micronの3社がDRAM市場の約9割を握る構造のもとで、この配分方針が供給の方向を決めている。

情シスへの影響とは——サーバー増設の「単体DIMM調達」が難しくなる

情シスにとって重要なのは、価格そのものよりも「買い方」が変わりつつある点だ。サーバーOEM各社は、逼迫するDDR5 RDIMMの割り当てを優先度の高いハイパースケーラや大口顧客に振り向けており、単体(バラ)でのDIMM販売を絞り、メモリを完成品サーバー構成の一部としてのみ供給する動きが広がっている。割り当てが確保できない構成では、メモリを減らした、あるいは空のスロットのまま出荷される事例も報告されている。

これは、これまで一般的だった「まず最小構成でサーバーを買い、後から安くなったタイミングで単体DIMMを増設する」という調達パターンが通用しにくくなることを意味する。割り当ては全員に平等ではなく、フォーキャスト(需要予測)を出していない突発需要は後回しにされ、オープンマーケットでの高値調達に回される。PC向けの供給が緩んでも、サーバー向けは「金を積んでも買えない」局面が残るというPhisonの指摘は、法人のサーバー増設・リプレース計画に直接響く。

PC用とサーバー用の供給・調達の違い

区分PC向けDRAMサーバー向けDRAM
供給の方向(2026年9月時点)改善の兆し逼迫が継続
価格の見通しQ4に+5〜20%、2027年半ばにピーク後に緩和(Acer)2027年後半まで四半期ごとに上昇(TrendForce)
主な調達経路チャネル・OEM経由で比較的柔軟完成品構成・LTA枠中心、単体DIMMは制限
緩和の想定時期2027年後半(中国CXMT/YMTC次第)逼迫は2027年、最長2030年まで(Phison)

情シスが確認すべき3つのポイント

  • PCとサーバーで調達方針を分ける:PC向けは供給改善の兆しがあるため過度な先行手配は不要だが、サーバー向けは逼迫継続を前提に、増設分まで含めた必要容量を早めに確定する。
  • 「後付け増設」から「初期構成での確保」へ:単体DIMMのバラ調達が難しくなっているため、サーバー更改時に将来の増設分を見込んだメモリ構成で発注できるかをOEMに確認する。
  • フォーキャストと枠取りを先に出す:割り当ては需要予測を出した順に決まる。2027年分まで見据えた数量をOEMや代理店に早めに提示し、LTA枠やアロケーション枠を確保できるか交渉する。

よくある質問

Q: PC用メモリの供給が緩むなら、法人PCの調達は待つべきですか?

A: Acerは2026年Q4のPC価格を5〜20%上昇と見込み、ピークは2027年半ば、緩和は2027年後半以降と示しています。当面は上昇局面が続くため「待てば下がる」とは言い切れませんが、PC向けはサーバー向けほど供給が硬直的ではないため、更新時期が近い機種を優先し、急がない機種は様子を見る余地があります。

Q: サーバー増設用のDDR5 RDIMMは今から確保すべきですか?

A: サーバー向けDRAMは2027年後半まで四半期ごとの値上がりが見込まれ、単体DIMMの割り当ても絞られています。後から安く増設できる前提は崩れているため、更改・増設で必要な容量は初期構成またはLTA枠で先に押さえる方が確実です。

Q: この供給難はいつまで続く見通しですか?

A: 出典により幅があります。Acerは2027年後半からの緩和を見込む一方、PhisonのCEOはメーカー内部試算として2030年までの継続に言及しています。少なくとも2027年はサーバー向けを中心に逼迫が続くとの見方が共通しており、2026〜2027年は上昇・逼迫を前提に予算化するのが妥当です。

ニュース一覧に戻る