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市場動向

Q. メモリ大手株が最大26%急落、市場は2029年の供給過剰を警戒(2026年10月15日)——調達は値下がりを待つべき? A. 2028年まで逼迫継続、反転はCXMTの歩留まり次第で不確実

RAMEXperts™️ 編集部

2026年10月15日、メモリ大手3社の株価が同時に大きく下げた。約5営業日でSK hynixが26%、Samsungが22%、Micronが約11%下落し、Samsungは10月13日に単日で約7.4%下落した。きっかけは、中国CXMTの増産を背景とした2029年の供給過剰観測である。好調な決算と記録的な利益が続くなかでの急落であり、情シスの調達計画にとっては「逼迫はいつまで続き、値下がりはいつ来るのか」という期間前提の問い直しを迫る材料になった。

メモリ大手株の急落とは——何が市場心理を変えたのか

結論から言えば、株価急落の主因は足元の需給ではなく、2029年の「将来の供給過剰」への警戒である。2026年10月時点でDRAM需給は依然として逼迫しており、各社は記録的な利益を上げている。

実際、Micronの2026会計年度は売上が1,331.9億ドルと前年比256%増、DRAMの平均販売単価(ASP)は前年比約180%上昇し、粗利益率は39.8%から80.7%へ倍増した。SamsungやSK hynixもAI向けメモリ需要で記録的な業績を更新している。それでも株価が下げたのは、投資家が足元の好業績よりも数年先の価格下落リスクを織り込み始めたためだ。直接の引き金は、テスラのイーロン・マスク氏が10月15日に「中国は2028年に大量のRAMを作る」と発信したことと、中国CXMTの技術進展だった。

2029年の供給過剰観測の中身とは——中国CXMTの影響

供給過剰観測の中心にあるのは、中国のCXMT(長鑫存儲、ChangXin Memory Technologies)の急速な能力拡大だ。CXMTとは、中国本土を代表するDRAMメーカーで、DDR5やLPDDR5Xへ製品を広げている企業である。

CXMTは2026年9月、第5世代(G5)DRAMプロセスの量産入りを発表し、このプロセスでは従来比で50%以上多くのダイを1枚のウェハーから得られるとした。さらに2026年10月には、より微細な次世代セル構造である4F²(フォーエフツー)を公表した。4F²とは、メモリセル1個が占める面積を従来の6F²から約3分の2に縮め、同じウェハーからより多くのチップを取れるようにする設計である。CXMTはこの4F²を用いる最初の製品として、サーバー向けDDR5 RDIMMを2026年内に出荷する計画だと報じられている(速度・容量などの詳細は未公表)。RDIMMとは、レジスタ(バッファIC)を介して信号を安定させたサーバー向けメモリモジュールのことだ。なお4F²はまだ量産段階になく、2026年9月に量産入りしたG5プロセスとは別の技術である。

シェア面でもCXMTの存在感は増している。世界DRAM市場での売上シェアは2026年Q1に約7.6%、Q2で約9.5%(調査会社により差)で、野村は2028年末に約18%へ拡大すると予測する。ウェハー投入能力についても、野村は2025年末の月産約28万枚から2028年末に約55万枚(約2倍)へ拡大すると試算している。SK hynixも4F²のロードマップを公表しており、Samsungの量産目標は2028年とされる。CXMTが2026年内に投入すれば、既存大手より早く市場へ出る可能性がある。

供給過剰は確定なのか

結論として、2029年の供給過剰は確定シナリオではない。複数のアナリストはCXMTが先端プロセスを歩留まり(良品率)良く量産できるかを疑問視している。ある専門家は「仮に歩留まりが50%なら、チップの半分を捨てることになる」と指摘した。2026年10月時点で、2029年の供給過剰は中国CXMTの歩留まり改善を前提とする未確定のシナリオであり、2028年までDRAM供給の逼迫が続くというのが複数の調査会社・業界関係者の共通見解である。

調達タイミングへの影響——値下がりを待つべきか

情シスの実務的な結論は、「2029年の値下がりを当て込んだ買い控えは推奨できない」である。理由は3つの数字に集約される。

  • 逼迫の継続期間:アナリストは供給逼迫が2028年まで緩まないと見ている。2026年Q4の汎用DRAM契約価格は前四半期比10〜15%上昇が見込まれる。
  • 反転後も高止まり:Counterpoint Researchは2028年のDRAM価格が2027年比で約23%下がる一方、2025年比ではなお約230%高い水準に留まると予測する。つまり2028年に下がっても「安くなる」わけではない。
  • 反転の不確実性:2029年の供給過剰はCXMTの歩留まり次第で、前倒しも後ろ倒しもあり得る。

この3点を踏まえると、FY2026〜FY2028の更改・増設計画は「逼迫継続」を前提に組むのが現実的だ。価格ピークを待って調達を遅らせると、逼迫期の高値づかみと納期長期化の両方を抱え込むリスクがある。

時期需給・価格の見通し調達上の意味
2026年Q4汎用DRAM契約価格は前四半期比+10〜15%上昇基調、早めの枠確保
2027年逼迫継続、サーバー優先でPC向けは細る可能性構成見直しと複数年契約
2028年前年比で約23%下落も2025年比+約230%(Counterpoint)下落しても高値圏、過度な待ちは不利
2029年CXMT増産次第で供給過剰の可能性(未確定)シナリオとして監視、計画の前提にはしない

情シスが確認すべき3つのポイント

  • 調達期間の前提を「2028年まで逼迫」に更新する:2029年の値下がり報道を根拠に予算や発注を先送りしていないか、計画の前提日付を確認する。
  • 複数年契約(LTA)の条件を点検する:LTAとは、数年単位で数量と価格条件を取り決める長期供給契約のこと。価格上限付きの3〜5年契約が増えており、枠と価格の両面を固定できるかを交渉材料にする。
  • CXMT・中国勢の採用可否を調達方針に明記する:供給分散の選択肢として中国製DRAMの採用可否を、保守・品質・調達規制(輸出管理・社内方針)の観点から事前に整理しておく。

よくある質問(FAQ)

Q: 2029年に供給過剰で安くなるなら、今は買わずに待つべきですか?

A: 2026年10月時点では推奨できません。供給逼迫は2028年まで続くとの見方が主流で、2028年に価格が下がってもCounterpoint予測では2025年比で約230%高い水準です。2029年の供給過剰はCXMTの歩留まり次第の未確定シナリオのため、計画の前提にはせず、逼迫継続を前提に調達するのが安全です。

Q: CXMTの参入で調達先を中国勢に分散すれば逼迫は緩みますか?

A: 短期的には限定的です。CXMTの能力拡大は進むものの、2026〜2027年の増産の多くは中国内需向けとされ、先端品の歩留まりにも不確実性があります。供給分散の選択肢として検討する価値はありますが、世界需給の反転を前提にはできません。

Q: なぜ各社が最高益でも株価は下がったのですか?

A: 投資家が足元の好業績ではなく、2028〜2029年の価格下落リスクを先取りしたためです。調達側にとっての含意は、メーカーが「将来の競合(中国勢)を育てるほど高値を維持している」構図であり、当面の価格は高止まりしやすいという点です。

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