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市場動向

Q. 2026年6月24日のMicron決算で全社粗利率81%・売上高前年比約272%増が見込まれBig3の時価総額がそろって1兆ドルを突破したいま、メモリメーカーの「超高収益体質」は情シスの価格交渉力をどう変えるか? A. 売り手市場の構造化により従来型の値引き交渉は機能しなくなっており、調達戦略を「価格獲得」から「供給確保」へ根本転換すべき局面にある

RAMEXperts™️ 編集部

Micron決算が映し出す「DRAM売り手市場の構造化」とは

2026年6月24日、Micron Technology(以下Micron)が2026会計年度第3四半期(FQ3)の決算を発表する。同社は3月の決算説明会で、FQ3の売上高を335億ドル(±7.5億ドル)、全社粗利率を約81%、非GAAPベースのEPSを19.15ドル(±0.40ドル)とガイダンスしている。ウォール街のコンセンサスはこれを上回り、売上高約344億ドル、EPS 19.72ドルを織り込んでいる。アナリスト予測では、DRAM単体の売上高は前年比約272%増となる262.7億ドルが見込まれている。

注目すべきは、この全社粗利率81%という数字の意味である。わずか1年前、同社の粗利率は39%だった。12カ月で粗利率が2倍以上に拡大した計算になり、メモリメーカーとしては異例の収益水準である。Goldman Sachsは、2026年の主要メモリメーカーのDRAM営業利益率が70〜80%と過去最高圏に達すると予測している。DRAMとは、Dynamic Random Access Memoryの略で、PCやサーバーの主記憶装置に使われる半導体メモリの一種である。揮発性メモリであり、電源を切るとデータが消失する特性を持つ。

この「超高収益体質」は一時的なボーナスではない。AI需要によるHBM(High Bandwidth Memory=AI用GPU等に搭載される広帯域メモリ)への生産シフト、DDR4の生産終了(EOL)に伴う旧世代品の供給縮小、そして新規ファブの稼働が2027年以降に集中しているという3つの構造要因が、メーカーの価格決定力を支えている。情シスの調達担当者がまず理解すべきは、この高収益が「メーカーに値引きする動機がない」ことを意味する点である。

Big3の時価総額1兆ドル突破が示す市場構造の変化

2026年6月時点で、DRAM業界の主要3社(Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology)の時価総額がそろって1兆ドルを突破した。Micronは2026年5月26日に1兆ドルの大台に乗せ、過去1年間の株価上昇率は835.3%に達している(Yahoo Finance、6月18日時点)。メモリ銘柄で構成されるRoundhill Memory ETF(ティッカー:DRAM)も2026年4月2日の取引開始以降、6月18日終値76.71ドルまで大幅に上昇し、時間外取引では78.15ドルを記録した。

この株価上昇は、投資家が「メモリスーパーサイクルは2027年以降も続く」と確信していることの反映である。Micronは2026年暦年のHBM供給について価格・数量ともに契約を完了済みであり、HBMの需要が供給を推定50〜67%上回る状態が続いている。HBMのTAM(Total Addressable Market)は2025年の約350億ドルから2028年には約1,000億ドルへ、年平均成長率約40%で拡大すると同社は予測している。

情シス担当者にとっての実務的含意は明確である。Big3がAI向け高収益製品に経営資源を集中させるなか、汎用DRAM(PC用・一般サーバー用DDR5等)の優先順位は構造的に低下している。これは「メーカーが値引きに応じない」という交渉テーブル上の問題だけでなく、「そもそも割り当て(アロケーション)自体が減る」という供給構造の問題である。

メーカー収益率と法人調達コストの相関――情シスへの影響とは

メーカーの高収益は、法人のメモリ調達コストに直接跳ね返る。TrendForceの最新データでは、PC DRAMの契約価格はQ2も大幅に上昇し、上昇基調はQ3・Q4にも継続する見通しである。サプライヤー在庫が低水準にあり、価格決定力がメーカー側に集中している構造は変わっていない。

具体的な影響を試算で示す。2024年後半時点で16GB DDR5 UDIMMを約30ドルで調達できた企業は、2026年6月時点では同等品に60〜90ドルのコストを見込む必要がある。サーバー向け64GB DDR5 RDIMMでは、調達コストが前年同期比で数倍に膨らんでいるケースも報告されている。Gartnerは2026年のDRAM・SSD合計の価格上昇率を130%と見積もり、PC価格を17%、スマートフォン価格を13%押し上げると予測している。

この環境下で従来の「複数社見積もり→最安値で発注」という調達モデルは実質的に機能しなくなっている。複数の供給パートナーによれば、2026年末までDRAM価格は月次10〜20%のペースで上昇する可能性がある。見積もりの有効期間が短縮され、価格の確定を先延ばしにするほど不利になる「逆タイムバリュー」の構造が生じている。

メーカー別の収益・戦略比較(2026年6月時点)

項目MicronSamsungSK hynix
直近四半期売上高238.6億ドル(FQ2)DRAM市場シェア38%(Q1 2026)DRAM市場シェア29%(Q1 2026)
粗利率見通し約81%(FQ3ガイダンス・全社ベース)営業利益4倍超見通し(Goldman予測)AI向けメモリの主導的地位
HBM戦略2026年分全量契約済みHBM4Eサンプル出荷済みNVIDIA向け複数年契約締結
先端ノード1γ DRAMが最速ペースで立ち上げ中1d DRAMの量産に遅延12層HBM4Eで帯域幅4.0TB/s達成
設備投資(2026年)250億ドル超大規模増産計画推進中AI向け生産比率固定化

「価格交渉」から「供給確保」へ――調達モデル転換の選び方

2026年6月21日時点で情シスが採るべき調達戦略は、従来の「いかに安く買うか」から「いかに確実に入手するか」への転換である。これは一時的な対応ではなく、少なくとも2027年後半まで続く構造変化への適応として位置づけるべきである。IDCのリサーチマネージャーは「メモリ価格の安定は早くても2027年後半」と指摘しており、その場合も「価格が下がるのではなく、上昇が止まるだけ」であるとしている。

具体的には、次の3つのアプローチが有効である。

  • 長期供給契約(LTA)の締結:四半期ごとのスポット調達から、半年〜1年単位の数量確約型契約へ移行する。Big3のCSP・大手OEM向けLTA交渉がQ1から継続しており、中堅企業が後回しにされるリスクが高まっている。
  • 調達チャネルの多層化:正規ディストリビューターに加え、RAMEXperts™️のようなDRAM専門の調達パートナー(60万5,000品の取扱実績)を活用し、市場在庫へのアクセス経路を複線化する。ニッチな容量・規格の調達においては、専門パートナーの在庫網が納期短縮に直結する。
  • 予算策定の前提変更:メモリ関連の調達予算を「前年実績ベース」から「四半期ローリング見通しベース」に切り替える。Gartnerの130%上昇予測を上長への稟議資料に組み込み、下期予算の増額承認を7月中に取得しておくことが望ましい。

情シスが検討すべき3つのこと

  • 1. 6月24日のMicron決算を「調達インテリジェンス」として活用する:決算発表後のガイダンス(特にFQ4の売上高・粗利率見通し、DRAM/NANDの供給見通しコメント)は、Q3〜Q4の調達環境を予測する一次情報となる。IR資料は英語だが、売上高・粗利率・在庫水準の3点を確認するだけで市場の方向感が掴める。
  • 2. 下期IT機器調達の見積もり有効期限を確認・短縮する:メーカーの値上げ頻度が月次化しているため、見積もり取得から発注確定までの期間が長いほど価格乖離リスクが増大する。可能であれば見積もり有効期限を14日以内に設定し、意思決定のリードタイムを短縮する社内プロセスを整備すべきである。
  • 3. メモリ「単価」ではなく「総保有コスト(TCO)」で調達判断を行う:現在の価格水準では、メモリ単体の値引き交渉で得られる効果は限定的である。それよりも、メモリ搭載量の最適化(過剰搭載の見直し)、サーバー仮想化によるメモリ効率の改善、リースモデルの活用といったTCO全体の最適化に注力する方が費用対効果が高い。

よくある質問

Q: DRAMメーカーの粗利率81%はいつまで続くのか?

A: 2026年6月21日時点では、複数のアナリストがDRAMの高収益環境は2027年いっぱい持続するとの見方を示している。新規ファブの本格稼働は2027年後半〜2028年と見込まれており、それまでは供給制約が価格を下支えする構造が続く。ただし、ハイパースケーラーのAI投資が急減速するシナリオ(一部予測市場では年内に30%未満の確率と見積もり)が実現した場合、市場は急速に軟化する可能性がある。

Q: メモリ調達の予算策定で上長に説明すべき数字は何か?

A: 最も説得力のあるデータポイントは3つある。第一に、Gartnerによる2026年DRAM・SSD価格の前年比130%上昇予測。第二に、Micronの全社粗利率が1年間で39%→81%へ倍増した事実(メーカー側に値引きインセンティブがないことの証左)。第三に、IDCによるメモリ不足に起因するPC出荷台数の2桁減予測(供給制約が価格だけでなく納期にも影響することの裏付け)。これらを組み合わせることで、予算増額の合理性を定量的に示すことができる。

Q: RAMEXperts™️のような調達パートナーを使うメリットは?

A: MOQなし最短10日納品に対応するDRAM専門パートナーを活用する主なメリットは、正規ディストリビューターの在庫が逼迫している局面でも市場在庫へのアクセスが確保できる点にある。特にDDR4の旧世代品やニッチ規格のRDIMMなど、メーカーが生産を縮小している製品カテゴリでは、広範な在庫ネットワークを持つ専門パートナーの価値が高まる。