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市場動向

Q. 2026年8月10日にMicronが「2027年は2026年より逼迫」と表明――2027年の緩和前提の調達計画は見直すべき? A. 首位級2社が2030年まで逼迫を示唆、緩和は後ろ倒しへ

RAMEXperts™️ 編集部
RAMEXperts朝刊。市場動向。ウェハ消費構造と汎用製品の供給関係。注目データは1GBあたり通常のDDR5より多くのウェハ面積を消費する。

2026年8月10日に開かれたKeyBanc Technology Leadership Forumで、Micronのチーフ・ビジネス・オフィサー(CBO)Sumit Sadana氏は、暦年2027年のメモリ需給が2026年より逼迫し、データセンター向けでは顧客が求める数量の半分超を満たせないと説明した。同社は市場が「2027年以降も構造的に逼迫」するとの見方を示している。この発言は、価格の上昇率そのものではなく、逼迫が続く『期間』が2027年の先へ延びたことを意味する点で、情シスの複数年調達計画に直結する。

Micronが示した「2027年は2026年より逼迫」の中身とは

結論から言えば、Micronは2027年を「2026年より供給がタイトになる年」と明確に位置づけた。2026年8月10日のKeyBanc Technology Leadership Forumで、CBOのSumit Sadana氏は、直近決算以降も顧客からの需要シグナルが強まり、暦年2027年は2026年より逼迫すると述べた。特にデータセンター向けは供給不足が最も激しく、同社は「顧客が求める数量の半分超を満たせない」状況にあるという。価格が「very high(非常に高い)」水準でも顧客は追加調達を求め続けている、というのが同氏の説明である。

ここで前提を整理する。HBM(High Bandwidth Memory)とは、AIアクセラレータ向けにDRAMを積層した高帯域メモリで、1GBあたり通常のDDR5より多くのウェハ面積を消費する。メーカーがHBMへ生産を振り向けるほど、サーバーやPCに載る汎用DRAMの供給は圧迫される。RDIMM(Registered DIMM)とは、サーバー向けにバッファを備えたメモリモジュールで、汎用サーバーの主力構成である。今回の逼迫はこのRDIMM系の汎用DRAMにも及ぶ。

供給側の裏付けとして、Micronは戦略的顧客契約が最終的に売上の約半分を占める見込みで、これらは「テイクオアペイ(take-or-pay)」条項付き、多くが暦年2030年まで及ぶと説明した。テイクオアペイとは、引き取らなくても代金の支払い義務が生じる契約で、供給枠を確保する代わりに数量コミットを負う仕組みである。同社は直近四半期の営業利益率81%にも言及しており、価格・数量の両面で売り手優位が続いていることを示している。

SK hynixや市場の見方との違いと整合――逼迫長期化は総意になりつつある

この見方はMicron単独ではない。2026年7月10日、SK hynixのCEO・Kwak Noh-jung氏はReutersに対し、2027年が業界史上最悪の供給不足になり、需要が供給を上回る状態は2030年以降も続くとの見通しを示した。首位級のメーカー2社が、そろって「2027年は2026年より厳しく、逼迫は2030年方向へ延びる」と公言した意味は大きい。

2026年8月15日時点で、DRAM市場の需給緩和が見込める時期は『2027年』から『2027年以降』へと後ろ倒しされている。価格の上昇『率』は鈍化する可能性がある一方、逼迫が続く『期間』はむしろ延びた、というのが現在の市場観だ。参考までに、2026年7月3日時点のTrendForce予測では、汎用DRAMの契約価格は2026年第3四半期に前四半期比13〜18%の上昇とされ、上昇率は年前半より緩やかになるものの、下落局面には入っていない。

発言・時点逼迫のピーク緩和の見通し
Micron CBO(2026年8月10日)2027年は2026年より逼迫2027年以降も構造的に逼迫
SK hynix CEO(2026年7月10日)2027年が史上最悪需要超過は2030年以降も継続

『2027年に緩む』前提の調達計画が抱えるリスクとは

情シスにとっての要点は、価格の高さそのものより「いつ緩むか」の前提が崩れたことにある。多くの中期IT計画は、2026年の高騰を一時的な波と捉え、2027年度の更改・増設で価格と納期が改善することを暗黙の前提にしてきた。その前提が、供給側の当事者2社の発言によって後ろ倒しされた。

具体的な影響は三つある。第一に、更改の「待ち」戦略のコスト増だ。2027年まで待てば安くなるという判断は、むしろ調達枠を失うリスクを高める。第二に、予算の据え置き前提の崩れである。メモリ単価が2027年度も高止まりするなら、サーバー・PCの1台あたり原価が上がり、同じ予算では調達台数が減る。第三に、クラウドへの回避も万能ではない点だ。ハイパースケーラー自身がテイクオアペイでコストを負い、その負担はいずれ利用料へ時間差で転嫁される。オンプレとクラウドを同じ前提でTCO(総保有コスト)比較する必要がある。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • 計画の前提年を点検する: 2027年度の更改・増設計画が「2027年に価格・納期が改善する」前提に依存していないかを確認し、必要なら緩和時期の想定を2028年以降へ後ろ倒しして再計算する。
  • 数量を『枠』で押さえる: 供給の主流が単発発注から複数年の数量コミットへ移りつつある。今期に必要容量を見積もり、ベンダー・販社と数量枠ベースで確保できるかを早期に確認する。
  • オンプレとクラウドを同一前提で比較する: メモリ高がクラウド利用料へ時間差で波及する前提で、更改・増設の選択肢を単価だけでなく複数年TCOで再評価する。

Q: 2027年まで待てばメモリ価格は下がりますか?

A: 2026年8月15日時点で、その前提は弱まっています。Micronは2027年が2026年より逼迫すると述べ、SK hynixのCEOも2027年を史上最悪の供給不足と予想しています。上昇『率』は鈍化する可能性がありますが、価格が下落局面へ入る時期は両社とも明示していません。

Q: クラウドに移せばメモリ逼迫は避けられますか?

A: 直接の調達は避けられますが、コストは回避しきれません。ハイパースケーラー自身がテイクオアペイ契約でメモリを高値確保しており、その負担は利用料へ時間差で反映され得ます。オンプレとクラウドは同じ前提でTCO比較するのが実務的です。

Q: 少量調達の中小企業でも複数年契約は必要ですか?

A: 大口向けの直接契約は必須ではありませんが、供給の主流が数量コミットへ移っているため、増設・補修用は必要量を早めに見積もり、販社経由で確保枠を相談しておくのが現実的です。緩和を待つより、確度の高い数量を先に押さえる方がリスクは小さくなります。

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