2026年8月時点で128GB DDR5が3,399ドル――高容量ほど上昇が急
Tom's Hardwareが2026年8月18日に公開した小売価格指数によれば、128GBのDDR5-6400キットは3,399ドルに達し、過去に記録した最安値329ドルの約10倍となった。64GB(32GB×2)のDDR5-5600キットは1,118ドルで、前年同月の約191ドルから485%上昇している。同指数では高容量帯ほど値上がり率が大きく、直近12か月の上昇はおおむね500%に達した。
この動きは一般消費者向けだけの話ではない。サーバー向けRDIMMも同じ製造ラインと前工程キャパシティを共有しており、データセンター向けの高容量モジュールほど供給が細っている。情シスがサーバー更改や増設を計画するうえで、いま確認すべきは「必要容量をDIMM何枚で満たすか」と「128GBと96GBのどちらが1GBあたり有利か」という構成そのものの判断だ。
96GBと128GB RDIMMの違いとは――モノリシックと3DSの構造差
結論から言えば、96GBと128GBのRDIMMは価格差ほど性能差がない。RDIMM(Registered DIMM)とは、コマンド/アドレス信号をレジスタで中継し、サーバー向けに多枚数実装でも安定動作させるメモリモジュールを指す。両者の決定的な違いは、その内部構造にある。
96GB RDIMMは24Gビットの大容量ダイ1枚で構成する「モノリシック(単一ダイパッケージ)」だ。一方の128GB RDIMMは、16Gビットのダイ2枚をTSV(シリコン貫通電極)で積層する「3DS(3次元スタック)」構造をとる。3DSとは、複数のDRAMダイを縦に積み重ねて1パッケージ化する実装技術で、工程数が増えるぶん歩留まりが落ちやすく、製造コストが上がりやすい。
Simms Internationalの技術解説によれば、96GBモノリシックRDIMMは128GBの3DS RDIMMとほぼ同等の性能を、モジュール単価で約50%低く実現でき、消費電力も最大24%低い。つまり供給が逼迫する局面では、96GBは128GBより「確保しやすく、1GBあたりも割安になりやすい」選択肢になる。24Gビットダイの登場で48GB・96GBといった非バイナリ(2の累乗ではない)の容量が現実的になった点も、構成の自由度を広げている。
高容量RDIMMが品薄な理由とその影響
高容量RDIMMの品薄は、AIサーバーが1台あたりに要求するメモリ量が従来型サーバーを大きく上回ることに起因する。半導体流通のFusion Worldwideが2026年1月に公開した分析では、世界のメモリ生産は総需要の70〜80%しか満たせておらず、ハイパースケーラーですら要求容量の40〜60%しか割り当てを受けられていない。ティア2以下の顧客の充足率は30%以下、新規のDDR5 RDIMM発注は54週を超えるリードタイムが常態化しているとする。
供給の伸びも需要に追いつかない。TrendForceが2026年7月にまとめたデータでは、サーバー向けRDIMMのビット供給は前年比15〜20%増にとどまり、サーバーCPU出荷の伸びを下回る。サーバーDRAMの契約価格は2026年第3四半期に前期比13〜18%上昇し、2027年後半まで四半期ごとの上昇が続く見通しだ。2026年第3四半期以降は、長期契約(LTA)を結んでいない企業ほど値上げの矢面に立つ構図になる。
メモリはいまやサーバーの原価構成で重い比重を占める。メモリを多く積む構成では部材費(BOM)の約40%をメモリが占めるとの試算もあり、大容量DIMMを前提にした高密度サーバーほど、1台あたりの見積もりが跳ね上がりやすい。
情シスへの影響と選び方――大容量1枚か中容量2枚か
2026年9月3日時点で必要容量が同じなら、128GBを1枚積むより、96GBや64GBを複数枚で満たす方が1GBあたりの単価を抑えられるケースが多い。ただしこれはDIMMスロット数・メモリチャネル構成・将来の増設余地とのトレードオフになる。
| モジュール | 内部構造 | 相対的な単価傾向 | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| 128GB RDIMM | 16Gb×2の3DS(TSV積層) | 1GBあたり割高・最も品薄 | スロット数が限られる最高密度構成 |
| 96GB RDIMM | 24Gbモノリシック(単一ダイ) | 128GBより約50%安い単価 | 容量と調達性を両立させたい構成 |
| 64GB RDIMM | 従来型(複数ダイ) | 高容量帯より確保しやすい | 汎用サーバー・段階的な増設 |
注意したいのは、初期購入時にスロットを埋め切ると後からの増設余地がなくなる点だ。現在の相場では後から同容量を買い足すほうが割高になりやすいため、「いま確保できる分を最大化する」判断と「将来の増設余地を残す」判断のどちらを優先するかを、更改機ごとに切り分けておく必要がある。
情シスが確認すべき3つのポイント
- 必要容量とDIMM枚数の対応を先に固める:総容量から逆算し、128GB×少数か96GB/64GB×複数かを、スロット数・チャネル構成とあわせて確定する。
- 128GBと96GBの1GBあたり単価を都度比較する:3DSの128GBは割高になりやすく、24Gbモノリシックの96GBが同等性能で安い場合が多い。見積もりは単価($/GB)で並べて判断する。
- リードタイムと発注枠を書面で押さえる:高容量RDIMMは54週超のリードタイムや割り当て制限が常態化している。数量・価格・納期を書面で確定し、発注列の位置を確保する。
よくある質問(FAQ)
Q: 96GB RDIMMは128GBの代わりに使えますか?
A: 総スロット数に余裕があれば有力な代替になります。96GBは24Gビットの単一ダイで作られ、128GBの3DS版とほぼ同等の性能を約50%低いモジュール単価で実現できます。ただし、スロット数が限られ最高密度が必要な構成では128GBが必要になる場合があります。
Q: いまは待つべきですか、それとも早めに確保すべきですか?
A: 2026年9月3日時点の各社見通しでは、サーバーDRAMの契約価格は2027年後半まで四半期ごとに上昇が続くとされています。値下がりを前提に待つより、正当化できる数量を早めに書面で押さえ、残りを段階的に手当てする方針が現実的です。
Q: 高容量DIMMほど値上がりが急なのはなぜですか?
A: 128GBのような高容量RDIMMは3DS(TSV積層)で作られ、工程数が多く歩留まりが落ちやすいうえ、AIサーバー向けに優先的に割り当てられているためです。結果として供給が最も細く、1GBあたりの単価も上がりやすくなっています。