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技術動向

Q. SK hynixの1c DRAMが2027年Q1に主力プロセス化(Q4'26で約34%)――微細化で汎用DDR5は安く潤沢になる? A. 増分はHBM4Eへ、微細化=汎用増ではない

RAMEXperts™️ 編集部
RAMEXpertsサーバーメモリニュース。技術動向。先端DRAMプロセスの増分はHBM4E優先。注目データはQ4'26で約34%。

何が起きたのか――SK hynixの1c DRAMが2027年Q1に主力プロセスへ

2026年9月7日、TrendForceは、SK hynixの最先端DRAMプロセス「1c」の生産構成比が2027年第1四半期(Q1)に約35%へ達し、従来主力だった「1b」(約33%)を抜いて主力プロセスへ移行するとの見通しを報じた。1cの構成比はQ1 2026の約10%から、Q2に約13%、Q3に約24%(見込み)、Q4に約34%と急速に高まる見込みだ。

1c DRAMとは、10nm級で第6世代にあたる最先端プロセスである。世代を追って配線を微細化すると、同じ1枚のウェハからより多くのメモリ容量(ビット)を取り出せる。この「ウェハあたりビット数(bits per wafer)」の向上が、コスト競争力と生産効率を押し上げる。

The Elecなどの報道によれば、SK hynixは1c専用の月産能力を2025年末の約2万枚から、2026年末に約16万〜19万枚(300mmウェハ換算)へ引き上げる計画とされる。8〜9倍の増強で、2027年前半には約17万〜20万枚を目標にするという。

なぜ1cを急拡大するのか――HBM4Eの土台だから

1c急拡大の主目的は、次世代AI向けメモリ「HBM4E」の量産準備にある。HBM(High Bandwidth Memory)とは、複数のDRAMダイを積層してGPUなどに近接させ、広帯域を実現するメモリで、AIアクセラレータの主要部材だ。

SK hynixは2026年6月に12段積層のHBM4Eサンプルを出荷済みで、容量48GB、ピンあたり16Gbpsの転送速度、HBM4比で20%超の電力効率改善をうたう。量産は2027年を予定する。

微細化で汎用DDR5は安く潤沢になるのか――情シスへの影響

結論から言えば、微細化は汎用DRAMの潤沢化・値下がりへ自動的には直結しない。ウェハあたりビット数が増えても、その増分がHBM4Eへ優先配分される限り、汎用DDR5の供給が急に増えるわけではないためだ。

DDR5とは、サーバーやPCで標準的に使われる現行の主記憶メモリ規格である。SK hynixは1cプロセスで16Gbの高密度DDR5も開発しており、微細化は汎用製品の低消費電力化・高密度化には寄与する。一方で、HBMは1スタックが膨大なダイ面積を消費するため、先端ウェハがHBMへ回るほど、同じ設備から取れる汎用向けビットは相対的に目減りする。

つまり情シスにとって重要なのは、「先端プロセスへ移行=汎用メモリが増える・安くなる」という従来の常識が、AI・HBM優先の現局面では成り立ちにくいという点だ。プロセスの微細化はビット生産効率を高めるが、その増分がHBM4Eへ優先配分される限り、汎用DDR5が自動的に安く潤沢になるわけではない。

1b→1c移行がレガシー・現行DDR5に及ぼす二次効果とは

もう一つの論点は、ノード転換に伴う旧世代の生産余地の縮小だ。既存の1a/1bラインを1cへ切り替えると、旧ノードで作ってきた製品(旧世代のDDR5やDDR4など)の生産枠がさらに狭まる。2026年9月時点で市場に出回る汎用DDR5は主に1a/1b世代で作られており、1cは当面HBM4Eと一部の先端DDR5に振り向けられる見込みだ。

世代競争はさらに先へ続く。次世代の「1d」DRAMは、Samsungが2026年9月に開発完了・2027年末ごろ量産、SK hynixが2026年12月に開発完了・2027年6月ごろ量産準備と報じられている。先端ノードの主戦場がAI向けに置かれる構図は、当面変わらないとみられる。

1c DRAM生産構成比の推移(SK hynix)

時期1c構成比メモ
2026年Q1約10%立ち上げ初期
2026年Q2約13%
2026年Q3約24%(見込み)
2026年Q4約34%(目標)
2027年Q1約35%1b(約33%)を抜き主力プロセスへ

(出典: TrendForce〈2026年9月7日〉、TechPowerUp、Crypto Briefing、The Elec の報道に基づく)

情シスが確認すべき3つのポイント

  • 「先端プロセス移行=供給緩和」で計画を立てない:1cの増分はHBM4E優先。2026〜2027年の汎用DDR5は逼迫継続を前提に、更改・増設の発注枠を早めに固める。
  • 現行DDR5は1a/1b世代依存であることを理解する:1cへの転換が進むと旧ノードの生産余地は縮む。使用中の型番・データレートの供給継続性をベンダーに確認する。
  • 1c製16Gb DDR5の投入時期を見積もりで確認する:高密度・低消費電力の恩恵が汎用DIMM(サーバー用RDIMM等)に届く時期と価格を、OEM・代理店経由で把握しておく。

よくある質問

Q: 1cへの移行で2027年に汎用DDR5は値下がりしますか?

A: 2026年9月9日時点では、値下がりを前提にできる材料は乏しい。1cのビット増分はHBM4Eへ優先配分される見込みで、汎用DDR5の供給が急拡大するとは限らないためだ。

Q: 1cプロセス製のDDR5は自社サーバーにそのまま使えますか?

A: DDR5規格自体は変わらないため互換性の考え方は同じだが、密度(16Gbなど)や消費電力が改善する。導入時は対応データレートとマザーボード/BIOSのサポートをベンダーに確認する。

Q: HBM需要が落ち着けば1cの能力は汎用へ回りますか?

A: 理論上はあり得るが、出典ではその時期は示されていない。HBM4Eの量産は2027年予定で、当面は先端ノードがAI向けに優先される構図が続くとみられる。

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