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市場動向

Q. 2026年8月にPC用DDR5小売価格が前年比約4.9倍――情シスの下期PC更改は前倒しすべき? A. 完成品PCへも転嫁進行、更改台数と構成の早期確定で影響を圧縮

RAMEXperts™️ 編集部
RAMEXpertsサーバーメモリニュース。市場動向。DDR5価格指数が486%へ上昇。注目データは指数は前月比+9.2%の上昇。

DRAM価格が金地金に迫った――2026年8月の市場が示したこと

2026年8月時点で、韓国産DRAMは重量あたりで金地金に迫る輸出単価をつけた。韓国貿易統計振興院(TRASS)のデータによると、モジュールを除くDRAMの輸出単価は2026年8月1〜20日で1kgあたり9万2,183ドルに達し、前年同期比+401.0%となった。1kgのDRAMは、いまや24金(純金)約620gに相当する価値を持つ。

DRAMとは、PCやサーバーの主記憶に使われる揮発性メモリで、汎用部品として長く「価格が下がり続ける商品」の代表格だった。その常識が反転している。TRASSによれば、DRAM輸出単価は2023年1月の底値から約3年7か月で12.5倍になった。同じ期間に金価格は2.4倍にとどまる。メモリはもはや汎用部品ではなく、戦略資源として扱われ始めている。

PC用DDR5小売価格の「現在地」とは――3DCenter指数で見る

結論から言えば、企業が従業員向けPCに使う一般的なメモリも、約1年で約4.9倍になっている。ベンチマークサイト3DCenterの2026年8月小売調査(ドイツ小売ベース)では、DDR5小売価格指数が2025年7月を基準(100%)として486%に到達した。前月(445%)比では+9.2%で、上昇が止まる気配はない。

DDR5とは、デスクトップ/ノートPCやサーバーで主流の第5世代のメモリ規格である。実売例では、ハイエンド業務PCの標準構成である64GB(2×32GB DDR5-6400 CL32)のキットが、2025年7月の181ユーロから2026年8月には1,093ユーロへと+503%になった。容量あたりの単価が跳ね上がっており、増設や高容量構成ほどコスト増の影響が大きい。

指標2025年7月2026年8月変化
3DCenter DDR5小売指数100%(基準)486%約4.9倍
2x32GB DDR5-6400 CL32181ユーロ1,093ユーロ+503%
韓国DRAM輸出単価(1kg)92,183ドル前年比+401%

情シスへの影響とは――なぜ完成品PCの調達に響くのか

影響の本質は、部品であるメモリの高騰が、いずれ完成品PCの価格に転嫁される点にある。メモリはPC1台の部材コストに占める比率が高まっており、小売メモリが約5倍になれば、Lenovo・Dell・HPなどが供給する法人向け完成PCの見積りにも遅れて反映される。2026年の見通しとして、調査会社は完成品PC価格が数%〜二桁%上振れると予測している(時期・幅は各社で異なる)。

AI・HBM需要の玉突きが根本原因

この上昇は一時的な需給ではなく、AI向けの生産シフトという構造要因による。HBM(広帯域メモリ)とは、AIアクセラレーター向けにDRAMを積層した高付加価値メモリである。SamsungとSK hynixは2026年のHBM3E供給価格を約20%引き上げており、限られたウェハ生産能力がHBMへ優先配分されるほど、汎用DRAMの供給が削られる。積層工程での歩留まりロスがこれを増幅している。つまり、AIサーバー向けの需要が、従業員PC用メモリの価格まで押し上げている。

下期のPC更改・増設計画をどう組み直すか

基本方針は「台数と構成を早期に確定し、メモリ起因の変動幅を最小化する」ことだ。第一に、2026年下期に更改・増設を予定するPCの台数と仕様を固め、OEMの最新見積り(値上げ反映後)で予算を取り直す。第二に、標準構成のメモリ容量を業務要件に対して必要十分にとどめ、将来の増設を見込んだ過剰なメモリ搭載を避ける。第三に、緩和見通しに賭けて発注を遅らせるより、必要台数を確定発注で押さえるほうがリスクは小さい。2026年8月時点の外部見通しでは、TrendForceが2026年第3四半期のサーバー向けDRAM契約価格を前四半期比+13〜18%上昇すると予測し、SK hynixのトップは供給逼迫が2030年まで続く可能性に言及している。ただし緩和時期は出典でも確定していない。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • 完成品PCの最新見積りを取り直す:小売メモリの約5倍化はOEMの法人PC価格に遅れて反映される。2025年時点の見積りは使わず、値上げ反映後の金額で稟議・予算を組み直す。
  • 更改台数と構成を早期確定する:緩和を待つより必要台数を確定発注で押さえる。標準メモリ容量は業務要件に合わせ、過剰搭載を避けて単価上昇の影響を圧縮する。
  • 逼迫の前提を計画に織り込む:AI・HBM優先の生産配分が続く限り、汎用DRAMの価格・納期は不安定。2027年以降とされる緩和見通しは未確定として、複数四半期のバッファを予算に持たせる。

よくある質問(FAQ)

Q: PC用メモリの価格は2026年内に下がりますか?

A: 2026年8月時点で下落の兆候は確認されていません。3DCenterの小売指数は前月比+9.2%で上昇が続き、外部予測でも2026年第3四半期はさらに二桁%の上昇が見込まれています。緩和は早くても2027年以降という見方が多く、時期は確定していません。

Q: なぜAIブームが従業員PCのメモリ価格まで上げるのですか?

A: SamsungやSK hynixがウェハ生産能力をAI向けのHBMへ優先配分するためです。HBMは製造に多くの生産能力を消費し、その分だけ汎用DRAM(PC用DDR5など)の供給が減ります。結果として、AIサーバー需要が一般PC用メモリの価格を押し上げます。

Q: いま完成品PCを前倒しで買うべきですか?

A: 更改・増設が確実に必要な台数については、確定発注で早めに押さえる判断が合理的です。ただし不要不急の前倒しは在庫リスクを伴うため、業務要件で必要な台数・構成に絞ることが前提です。

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