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技術動向

Q. SEDEX 2026で両社が"ポストHBM"のHBF等を公開(2026年10月14日)——汎用DRAM供給は改善する? A. 新技術もパッケージ投資もAI集中、汎用の玉増加は2028年以降

RAMEXperts™️ 編集部

SEDEX 2026で発表された"ポストHBM"技術とは

結論から言えば、2026年10月14日に開幕した半導体展示会SEDEX 2026でSamsungとSK hynixが公開した新技術は、いずれもAIアクセラレータ向けの"ポストHBM"階層であり、情シスが日常的に扱う汎用サーバーメモリの技術ではない。SEDEX 2026はソウルのCOEXで10月14日から3日間開催され、300社・888ブースと過去最大規模となった。

SK hynixが前面に出したのが、High Bandwidth Flash(HBF/高帯域フラッシュ)である。HBFとは、HBMで培った積層・高速転送技術をNANDフラッシュに応用し、同世代HBMの約半分の帯域で約10倍の容量を狙う新しいメモリ階層である。公開仕様では8段・16段積層で最大512GB、帯域は約0.4〜3.0TB/sの3段階、プロセッサ接続にUCIe規格を用いる。SanDiskと共同開発し、GoogleやTenstorrentがコンソーシアムに参加、技術標準の確定は2027年1月を予定する。

SK hynixはさらに、GPU/NPUのダイ上にDRAMを直接積層する3D積層DRAMも示した。TSV(シリコン貫通電極)で16ダイを結線し、現行HBMが必要とするシリコンインターポーザーを省く構成で、量産は2028年を目標とする。HBM4E(2026年6月サンプル出荷、12層・16Gbps、HBM4比20%超の効率改善)やCustom HBM、CXLメモリプール、現行比約4〜8倍のIOPSを狙うStorage-Next SSDもロードマップに並んだ。

Samsungは第6世代1c DRAMを用いたHBM4(12層・36GB・11.7Gbps、最適化で最大13Gbps)に加え、HBM4Eの試作品、そしてHBMをAIプロセッサ直上に積む将来技術zHBMを公開した。

HBF・zHBM・3D積層DRAMの違い

要点は、3つとも「メモリをプロセッサにより近づけ、容量か帯域を稼ぐ」AI向け技術であり、標準的なDIMM(メモリモジュール)とは別系統という点だ。情シスが扱うRDIMM(サーバー向けのバッファ付きメモリモジュール)やUDIMMとは、製造・実装の系統が異なる。下表のとおり、新技術はAI基盤側に集中している。

技術位置づけ容量・帯域の特徴量産・標準化
HBM4(Samsung)AI向け広帯域メモリ36GB・11.7Gbps量産段階
HBM4(SK hynix)AI向け広帯域メモリ48GB・16層量産段階
HBFHBMとSSDの中間階層最大512GB・帯域はHBMの約半分標準確定 2027年1月
3D積層DRAMプロセッサ直上積層16ダイ・インターポーザー不要量産 2028年目標
zHBMプロセッサ直上積層(将来)低遅延志向将来技術

SEDEX 2026の新技術は汎用DRAM供給にどう影響するか

結論は、2026年10月16日時点で、これらの新技術が汎用サーバーDRAMの供給余力を2027年内に直接増やす材料にはならない、というものだ。理由は3つある。

第1に、公開された技術はすべてAIアクセラレータ向けで、RDIMM/UDIMMの密度や歩留まりを直接改善するものではない。第2に、HBF・3D積層DRAM・zHBMはいずれもTSVやハイブリッドボンディングといった先端パッケージ技術を前提とし、限りある先端パッケージ能力と最先端DRAMウェハを一段と吸い上げる。HBMは同容量のDDR5に対しておよそ3倍のウェハを消費するとされ、新階層の追加はこの傾斜をさらに強める方向に働く。第3に、量産・標準化のタイムラインが2027年1月(HBF標準)〜2028年(3D積層DRAM量産)であり、恩恵が出るとしても汎用DRAMではなくAI基盤側である。

つまり、メーカーの研究開発と設備投資の重心は、汎用DRAMからさらにAIメモリ側へ移っている。SK hynixがSEDEXで示した「メモリを単なる部品として捉えず、新たなメモリ階層を築く」という方針は、HBF・3D積層DRAM・Custom HBMという"ポストHBM"群へ資源を広げる宣言でもある。汎用サーバー・PC向けの標準メモリにとっては、技術起点の供給改善を2027年内に期待しにくい状況が続く。サーバーの増設やリプレースを計画する情シスは、次世代技術による値下がりを待つ前提ではなく、現行世代のDDR5(サーバー・PCで主流の第5世代メモリ規格)をタイト需給の前提で調達設計するのが現実的だ。

2026年10月のSEDEX 2026で公開された新メモリ技術はいずれもAIアクセラレータ向けであり、汎用サーバーDRAMの供給余力を2027年内に直接増やすものではない。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • 調達計画はタイト前提で前倒し:FY2026〜2027のサーバーメモリ調達は逼迫前提で組む。更改時期の前倒しや複数年契約の可否をベンダーに確認し、納期の見通しを早めに押さえる。
  • 構成の見直しで実装効率を上げる:DIMM枚数を増やす増設より、大容量RDIMMで同一容量を確保する方が玉の確保で有利になりやすい。CPUやRCD世代との互換性を見積もり段階で確認する。
  • 技術起点の値下がりを待たない:汎用DRAMの玉を増やす要素(新工場や次世代セル)は2027年後半〜2028年が目安。旧世代機器のEOLや保守用メモリの納期を保守計画に織り込む。

よくある質問(FAQ)

Q: HBFやzHBMが登場すると、サーバー用RDIMMの価格は下がりますか?

A: 2026年10月16日時点では、直接の値下げ要因にはなりにくい。これらはAI向けの別系統の階層で、先端パッケージ能力を奪い合う側にあるため、汎用RDIMMの供給余力はむしろ増えにくい。

Q: HBFはエンタープライズSSDの置き換えですか?

A: 置き換えではなく中間階層である。HBF(高帯域フラッシュ)はHBMとSSDの間を埋め、AI推論でのキャッシュ溢れを受け止める用途で、容量はHBMの約10倍、帯域は約半分。一般的なエンタープライズSSDの代替ではない。

Q: 汎用DRAMの供給が技術面で改善するのはいつごろですか?

A: 本記事の出典で確認できる範囲では、SEDEX 2026の発表は汎用DRAM増産の時期を示していない。3D積層DRAMの量産目標は2028年で、公開された新技術はいずれもAI向けである点が出典で明示されている。

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