本文へ移動
RAMEXperts™︎ DIMM SPECIALIST
供給動向

Q. 中国CXMTが第5世代DRAM(11.95nm)を2026年9月量産開始——第4の供給元で企業の調達難は緩む? A. 増分は当面コモディティ・国内向け中心で法人サーバーの即効策にはならない

RAMEXperts™️ 編集部

中国のCXMT(長鑫存儲技術)は2026年9月20〜21日、安徽省合肥の世界製造業大会で第5世代(G5)DRAMの量産開始を発表した。活性領域ハーフピッチは11.95ナノメートル(nm)で、EUV(極端紫外線)露光を使わずクアッドパターニングで到達したとされる。情シスの観点でまず押さえるべきは、増える供給が「どこ向けか」と、法人サーバーの正規調達ルートで実際に使えるのか、の2点である。

CXMTのG5 DRAM量産とは何か

結論から言えば、CXMTはSamsung・SK hynix・Micronに次ぐ「第4のDRAM供給元」として、汎用DDR5とLPDDR5の量産能力を急速に立ち上げている。DRAM(Dynamic Random Access Memory)とは、サーバーやPCの主記憶に使う揮発性メモリであり、その世界市場は長年この上位3社が9割超を占めてきた。

今回のG5は、ウェハ1枚あたりの取り数を前世代比で少なくとも50%増やしたと同社は説明する。ただしこの数値は欠陥選別前の総ダイ数に基づくもので、実際の良品歩留まりとは異なる点に注意が要る。Seoul Economic Daily(2026年9月21日)はCXMTのQ2 2026のDRAM売上シェアを9.5%、Counterpoint Research基準では約10%と報じており、いずれも世界第4位である。

速度面では、CXMTのDDR5は8,000MT/s、LPDDR5Xは10,667Mbpsを提示した。サーバー向けにはRDIMM(バッファを備えた登録型メモリモジュール)に加え、帯域を高めたMRDIMMやTFF MRDIMMも披露している。CXMTのG5 DRAMは、EUVを使わずクアッドパターニングで11.95nmを達成した第5世代DRAMであり、DDR5-8000/LPDDR5X-10667を主力に量産へ移行している。ただしCXMTは大手より旧世代のプロセスを用いており、消費電力やピーク性能では及ばないとの指摘がある。

第4の供給元は企業のメモリ調達難をどう変えるか(影響)

短期的な結論は「日本企業の法人サーバー調達を、2026〜2027年のうちに直接楽にはしない」である。理由は供給の向き先と調達ルートの2点にある。

供給面——増分はどこへ向かうか

CXMTは2026年末までにウェハ投入を月約350,000枚(WSPM=月間ウェハ投入枚数)へ引き上げる計画で、これはMicronの同時期の約375,000枚に迫る規模だ(Citrini Research試算、Tom's Hardware報道)。ただし増分の多くは、大手3社がHBM(High Bandwidth Memory=AIアクセラレータ向けの積層メモリ)と高速DDR5に能力を振り向けて空いた「コモディティDRAM(汎用の標準DRAM)」の穴と、中国国内のスマホ・PC・サーバー需要に充てられる見込みだ。CXMT自身も供給逼迫が2026年下期まで続くとの見方を示しており、増産が即座に世界の余剰につながるわけではない。

調達面——法人サーバーで使えるのか

CXMTのDDR5価格は、当初期待された「割安」とは異なり、実勢ではSamsung・SK hynix・Micronとほぼ同水準にあると複数のメモリ流通関係者が証言している(Tom's Hardware)。CXMTの優位は価格そのものより、HBMに能力を割かない分の供給余力(HBMを優先しないためクライアント市場向けの標準DDR5供給を安定的に確保できる点)にあるとされる。加えて米国の輸出規制の対象であり、Dell・HPE・Lenovo・Supermicroなどの正規サーバーBOM(部品構成表)に採用される場面は限定的だ。マザーボード各社は自作・ホワイトボックス向けにCXMT DDR5の検証を進めているが、2026年9月22日時点でも欧米・同盟国の法人調達チャネルでの入手性は依然として低い。

大手3社とCXMTの違い(比較表)

メーカーQ2 2026 DRAM売上シェア主な注力領域
Samsung38%HBM・高速DDR5
SK hynix25%HBM・高速DDR5
Micron24%HBM・サーバーDDR5
CXMT約10%(4位)コモディティDDR5/LPDDR5・国内サーバー

補足:ウェハ投入枚数はCXMTが2026年末に月約350,000枚を目標とし、Micronの同時期の約375,000枚に迫る。上位3社の合算シェアは前年の約94%から87%へ低下した(Counterpoint Research)。表のとおり、CXMTは規模ではMicronに迫りつつあるが、注力領域はHBMではなくコモディティ帯にある。この構図は、AI向けHBMが汎用DRAMを吸い上げる「玉突き」の裏で、汎用帯をCXMTが埋めに来る展開を示す。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • BOMのメモリベンダー確認:更改・増設で導入するサーバーやPCに搭載されるDRAMの製造元を、見積り段階でOEMに確認する。ホワイトボックスや廉価PCではCXMT製が混在し得る。
  • 正規ルートの供給可否:CXMT製RDIMM/MRDIMMを本番サーバーへ採用する場合、保証・サポート・輸出規制上の可否を、調達先とベンダー保証の両面で確認する。
  • 価格アンカーとしての監視:CXMTの汎用DDR5供給の拡大は、コモディティ帯の需給に影響し得る。サーバー契約価格とは別軸として、PC用メモリやスポット相場の動向を四半期ごとに追う。

よくある質問

Q: CXMTのメモリを自社の本番サーバーに採用してよいか?

A: 2026年9月時点では慎重な検証が前提となる。汎用DDR5の性能は実用水準にあるが、旧世代プロセスに伴う消費電力・ピーク性能面の制約や長期保証・輸出規制の制約があり、ミッションクリティカル用途では大手3社品の代替として即採用しない方が無難だ。評価環境での検証を経てから判断したい。

Q: CXMTの量産でDRAM価格はいつ下がるか?

A: 出典では、供給逼迫は2026年下期まで続くとされる。増分はコモディティ帯と中国国内需要に向かうため、法人サーバーの契約価格が直ちに下がる保証はない。明確な価格緩和の時期は出典では未公表である。

Q: 日本企業はCXMT製を直接買えるのか?

A: 大手OEMの正規サーバーBOMでの採用は限定的で、入手性は現状低い。ホワイトボックスやコンシューマ製品経由で間接的に搭載される可能性はあるため、調達時はベンダー確認が要る。

ニュース一覧に戻る