2026年Q2のDRAMシェアとは——大手3社の勢力図はこう動いた
2026年10月初旬に公表された調査会社Counterpoint Researchのデータによると、2026年第2四半期(Q2)のDRAM売上シェアはSamsung Electronicsが38%、SK hynixが25%、Micronが24%、中国のCXMTが10%だった。前期比ではMicronが+2ポイント、SK hynixが-4ポイントとなり、2位と3位の差はわずか1ポイントに縮小した。DRAM市場シェア(売上ベース)とは、各社のDRAM販売額が市場全体に占める割合を指し、生産能力そのものではなく「どこに、どれだけ高く売れたか」を映す指標である。
長く「Samsung・SK hynix・Micronの3強」のうち「2位SK hynix/3位Micron」という序列は安定していた。その2位・3位が1ポイント差まで接近したことは、AIサーバー向けメモリ需要が勢力図そのものを動かし始めた兆候といえる。
| メーカー | 2026年Q2 DRAM売上シェア | 前期比 |
|---|---|---|
| Samsung | 38% | 首位 |
| SK hynix | 25% | -4ポイント |
| Micron | 24% | +2ポイント |
| CXMT(中国) | 10% | 上昇 |
(出典:Counterpoint Research、2026年Q2)
なぜMicronが急伸したのか——AIデータセンター需要の影響
結論から言えば、Micronの伸びはAIデータセンター向けの高採算メモリに支えられている。同社が2026年9月30日に発表した2026会計年度第4四半期(6〜8月期)決算では、売上高が過去最高の542億ドルで前期比約31%増・前年同期比379%増、四半期ベースで6期連続の最高売上更新となった。
うちDRAM売上は過去最高の398億ドルで前年同期比343%増、全社売上の73%を占めた。通期ではDRAM売上が初めて1,000億ドルを超えた(約1,006億ドル)。さらに中核のデータセンター部門は売上180億ドル・前期比56%増で、粗利率は90%に達した。つまりMicronの収益構造は、汎用品よりもAI・データセンター向けへ大きく傾いている。
一方でSK hynixがシェアを落としたのは弱さではない。同社はQ2にHBM(広帯域メモリ)供給を他社より厚めに振り向けた結果、急騰した汎用DRAM価格の恩恵を相対的に取りこぼした面がある。HBMとは、DRAMダイを積層してGPU近傍に配置する高帯域メモリで、AIアクセラレータ向けに需要が集中している。HBM4の本格増産が進めば、SK hynixが再びMicronとの差を広げる可能性も指摘されている。
法人のメモリ調達先選定への影響とは
情シスにとっての要点は、順位そのものではなく「3社が同じ方向を向いている」ことである。Samsung・SK hynix・Micronはいずれも、限られた生産能力をAI・HBM向けの高採算品へ優先配分する姿勢で一致している。Micronのデータセンター部門の粗利率90%という数字は、汎用のサーバー・PC向けDRAMがメーカーにとって相対的に優先度の低い玉になっていることを端的に示す。
この構造下では、調達先を3社間で分散しても逼迫の根本は変わりにくい。どのメーカーを選んでも、割当の論理(AI・大口顧客・高採算品が優先)は共通だからだ。RDIMMとは、サーバーに用いるバッファ付きメモリモジュールで、エンタープライズ需要の中心に位置する。第4の供給元として台頭するCXMT(シェア10%)も、現時点では中国国内・コモディティ品中心とされ、法人サーバー調達の即効策にはなりにくい。
したがって「複数社見積もりで最安を拾う」従来の調達発想は効き目が薄れている。重要なのは、価格交渉よりも必要数量の枠(割当)を早期に確保し、完成品(サーバー・PC)の初期構成段階でメモリを織り込む発想へ切り替えることだ。大手3社がそろってAI・HBM向け高採算品に生産を優先配分しているため、サーバー・PC向け汎用DRAMの割当は調達先を変えても構造的に細い状態が続く。
2026年10月時点の整理と今後の見通し
2026年10月時点で、大手3社の序列は流動的だが、方向性は「AI優先」で一致している。現状として確認できるのはQ2の売上シェア(Samsung 38%/SK hynix 25%/Micron 24%)と、Micronの決算が示す収益のデータセンター集中である。今後の見通しとしては、SK hynixのHBM4増産がシェアを再び動かす要因になり得るが、どの四半期にどう反映されるかは出典では明示されていない。いずれにせよ、汎用DRAMの割当が緩む材料は現時点では見当たらない。
情シスが確認すべき3つのポイント
- 調達先分散の前提を見直す:大手3社がAI優先で一致する以上、複数社見積もりだけでは逼迫は緩まない。数量の枠確保を価格交渉より優先する。
- サーバー・PCは初期構成でメモリを確定:汎用DRAMがメーカーの優先度で劣後している前提で、後付け増設をあてにせず初期構成に必要容量を織り込む。
- メーカーの収益構造を定点観測:各社のデータセンター/HBM比率や決算を四半期ごとに確認し、汎用品の割当が緩む兆しがあるかを見極める。
よくある質問
Q: DRAMの調達先をMicronからSamsungやSK hynixに変えれば入手性は改善しますか?
A: 大きな改善は見込みにくいです。2026年Q2時点で3社はいずれもAI・HBM向け高採算品を優先配分する姿勢で一致しており、汎用サーバー・PC向けDRAMの割当が細い構造は共通です。供給元の切り替えより、必要数量の枠を早期に確保する方が実効的です。
Q: 第4位のCXMTが伸びれば調達難は和らぎますか?
A: 短期的には限定的です。CXMTのシェアは2026年Q2で約10%ですが、供給は中国国内・コモディティ品が中心とされ、法人のサーバー調達をすぐ楽にする材料にはなりにくいのが現状です。
Q: Micronが過去最高益を更新したのは価格が下がる兆しですか?
A: 逆の示唆です。542億ドルの過去最高売上とDRAM売上の前年比343%増は、価格と需要が高止まりしていることの表れです。2026年10月時点で供給が緩む材料は確認できません。