本文へ移動
RAMEXperts™︎ DIMM SPECIALIST
市場動向

Q. 2026年8月、クラウドのハード費68%が2027年にメモリへ――情シスはクラウド移行で値上げを回避できる? A. コスト転嫁でクラウドも上昇、オンプレとの二正面で予算化を

RAMEXperts™️ 編集部

2026年8月に何が起きたか――クラウドのハード費、2027年に68%がメモリへ

結論から言えば、メモリ価格の高騰はオンプレミス機器だけの問題ではなくなった。英メディアThe Registerは2026年8月26日、市場調査会社TrendForceの予測として、クラウド事業者のハードウェア支出に占めるメモリ(DRAMとNAND)の比率が2026年の47%から2027年には68%へ上昇すると報じた。2026年8月時点で、メモリコストはクラウド事業者のハードウェア支出の最大費目となりつつあり、2027年にはその約7割を占めると予測されている。

ここで言う設備投資(capex)とは、サーバーやストレージなどのハードウェアに投じる資本的支出を指す。TrendForceによれば、クラウド事業者全体の設備投資額は2026年に前年比+98%とほぼ倍増し、2027年もさらに+50%伸びる見通しだ。その資金の大半をメモリが飲み込む構図で、サーバー向けDRAMの契約価格は2026年に累計で約+270%、エンタープライズ向けSSDの価格は同期間で+235%に達すると同社は見ている。

用語整理――DRAM・HBM・RDIMMとは

DRAMとは、サーバーやPCの主記憶に使われる揮発性メモリである。HBM(広帯域メモリ)とは、AIアクセラレータ向けにDRAMを積層した高性能メモリを指し、RDIMM(レジスタードDIMM)とは、サーバー用に信頼性を高めたメモリモジュールの規格である。AI用のHBMと汎用のサーバーDRAMが同じ製造ラインを取り合う「玉突き」構造が、価格高騰の背景にある。

なぜ情シスに影響するのか――クラウドは値上げ回避の「逃げ道」ではなくなる

情シスにとっての要点は、オンプレ更改を避けてクラウドへ移しても、メモリ高騰の影響からは逃げ切れないという点だ。The Registerは「メモリがクラウド事業者の設備投資に占める割合が増えるほど、そのコストはクラウド側にとどまらず利用者へ転嫁されていく」と指摘している。実際、欧州のOVHcloudは料金を最大+87%引き上げる計画を示している。

2026年前半までは、クラウドが「調達難の避難先」として語られていた。AWSのアンディ・ジャシーCEOは2026年4月、メモリの価格・供給の変化が「オンプレミス基盤を持つ企業をクラウドへ押し出す一段の推進力になっている」と述べていた。だが同時期にGartnerのアナリストは、オンプレ・サーバーの価格が1年前の約4倍になったと指摘しており、その原価上昇分がクラウド料金にも順次乗り始めたのが2026年後半の局面である。

調査会社Omdiaは、大企業は更改を先送りし、中小企業ほど調達に苦しむとの見方を示している。「オンプレが高いからクラウドへ」「クラウドも上がるからオンプレ据え置き」という二者択一では最適解にならず、両にらみでコストを試算する必要がある。

オンプレとクラウドのコスト構造の違い(比較)

出典で確認できた主な数値を整理すると、メモリコストの上昇が供給網全体を押し上げている構図が見える。

指標2026年2027年(予測)
クラウド事業者の設備投資(前年比)+98%+50%
ハードウェア支出に占めるメモリ比率47%68%
サーバーDRAM契約価格(2026年・累計)+270%
エンタープライズSSD価格(同期間)+235%
OVHcloud 料金改定(計画)最大 +87%

出典:TrendForce(The Register 2026年8月26日報道)。いずれも出典に基づく数値で、企業ごとの契約条件により実際の負担は異なる。なお完成品側でもNVIDIAが次世代AIチップを約15%値上げと報じられており、ハードとサービスの双方でメモリ高が転嫁される流れは2027年にかけて続く見込みだ。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • クラウド契約の値上げ条項と改定通知を確認する:既存のIaaS/PaaS契約に価格改定条項や予告期間があるか棚卸しし、メモリ・ストレージ課金の値上げが2027年にかけて通知される前提でモニタリング体制を作る。長期コミットや予約インスタンスで固定できる範囲を確認する。
  • オンプレ更改とクラウド移行を同一TCOで比較する:TCO(総所有コスト)とは、購入費だけでなく運用・電力・更改まで含めた総費用を指す。オンプレの調達単価(メモリ・SSD増)とクラウドの利用料上昇を同じ土俵で試算し、どちらか一方だけを避難先とみなさない。
  • 複数年予算にメモリ転嫁分を織り込む:2026〜2027年は供給逼迫が続く前提で、クラウド利用料・保守更新・ハード調達の各費目に上振れ余地を確保する。増設・更改の要件を先に確定し、値上げ通知前に発注枠や契約更新のタイミングを前倒しできないか検討する。

よくある質問(FAQ)

Q: クラウドに移せばメモリ価格高騰の影響を避けられますか?

A: 避けきれない。The Registerは、メモリがクラウド事業者の設備投資に占める比率が2027年に68%へ高まり、そのコストは利用者へ転嫁されると報じている。OVHcloudは料金を最大+87%引き上げる計画を示しており、クラウドは「値上げの逃げ道」ではなくなりつつある。

Q: 2027年のクラウド料金はどの程度上がりますか?

A: 事業者や構成により一律ではない。公表された具体例ではOVHcloudが最大+87%を計画しているが、主要ハイパースケーラー各社の個別の改定幅は出典では未公表であり、契約条件により異なる。メモリ・ストレージを多く使うワークロードほど影響が大きい点に留意したい。

Q: いま情シスが最初に取るべき一手は?

A: クラウドとオンプレの費用を同一TCOで並べ、2027年に向けたメモリ転嫁分を予算に織り込むこと。そのうえで、値上げ通知前に固定できる長期コミットや発注枠がないかを確認するのが、2026年8月時点で現実的な打ち手となる。

ニュース一覧に戻る