本文へ移動
RAMEXperts™︎ DIMM SPECIALIST
供給動向

Q. Phison CEOが「メモリ不足は数年続く」と発言(2026年9月30日)——調達は何年先まで見込むべき? A. 供給均衡は2027〜2028年も戻らず、複数年前提の枠確保と予算化へ

RAMEXperts™️ 編集部
RAMEXpertsサーバーメモリニュース。供給動向。需給ギャップの長期化と予算設計。注目データはDRAMのビット出荷は年20%台前半伸び。

Phison CEOの「数年続く」発言とは——供給見通しの結論

結論から言えば、メモリの供給逼迫は単年の問題ではなく、複数年にわたる前提で調達計画を組む段階に入った。NANDコントローラ大手Phison(フィゾン)のCEOであるPua Khein-Seng氏は2026年9月30日、AI需要によって開いたメモリの需給ギャップは「解消まで数年かかる」との見方を示し、「毎日『そろそろ和らぐ』と自分に言い聞かせている」と述べたと報じられた。コントローラを介してDRAM・NANDの需給を最前線で見る立場からの発言であり、逼迫の長期化を裏づける一次的な声として重い。

ここで言う需給ギャップとは、メモリメーカーが供給できるビット量と、データセンター・AI向けを中心とした需要量の差を指す。2026年10月1日時点で、この差は生産能力の増強ペースを需要の伸びが上回る構図が続いており、短期での解消は見込みにくい。

なぜ供給逼迫は2027〜2028年も続くのか

逼迫が長期化する主因は、AI向けの高付加価値メモリに生産能力が優先配分されている構造にある。HBM(High Bandwidth Memory:AI向けに積層した広帯域メモリ)は、同じウエハー生産能力から取り出せる一般DRAMのビット量を圧迫する。メーカーは利幅の大きいHBMやサーバー向けを優先するため、コモディティDRAMの増分供給が細る状態が続いている。

同じ2026年9月30日に発表されたMicron(マイクロン)の2026会計年度第4四半期決算も、この見方を補強する。売上高は四半期として過去最高の542億ドル(前年同期比+379%)、うちDRAM売上は398億ドルで全体の73%を占めた。同社は「需給は2026年より2027年・2028年にかけて一段と逼迫する」と明言し、DRAMのビット出荷は両年とも年20%台前半で伸びるものの、業界は供給制約が続くとした。増産しても需要に届かない、という構図である。

主要メーカーが示す供給見通し(2026年9月30日時点)

主体供給・需給に関する見通し
Phison(CEO発言)需給ギャップの解消に数年。業界内では2030年、あるいはそれ以上との見方も
Micron(FY26 Q4決算)需給は2027〜2028年に一段と逼迫。DRAMビット出荷は年+20%台前半でも供給制約が継続
SK hynix(従来見解)需給の均衡は早くても2030年とみる

2026年10月1日時点で、主要メモリメーカーの供給見通しは「2027〜2028年も逼迫が続く」で一致しており、需給均衡は早くても2030年とみられている。これは、単年度の設備投資判断ではなく、複数年度をまたぐ調達戦略が必要になったことを意味する。

情シスへの影響とは——前払い・複数年契約の広がり

逼迫の長期化は、価格だけでなく「取引条件」の変化として現れ始めている。Phison CEOによれば、メモリメーカーは需要が供給を上回る状況を背景に、複数年分の前払いを求める動きを強めており、報道では最長3年分の前払い(プリペイメント)に言及するものもある。前払いとは、供給枠を確保する見返りに、代金の一部または大半を先に支払う取引形態を指す。これまで完成品・部品業界では一般的でなかった条件が、売り手優位の市場で常態化しつつある。

情シスにとっての実務的な含意は次の三つだ。第一に、サーバーやPCの更改・増設は「必要になってから買う」では枠が取れず、初期構成での確定と早期の枠押さえが前提になる。第二に、価格が上がり続ける局面では、メーカーが特定顧客との大口・長期契約を嫌う場合もあり、条件はOEM・販社経由の交渉に左右される。第三に、前払いや複数年コミットが求められるなら、単年度予算では対応しきれず、稟議の枠組み自体を複数年で設計し直す必要がある。

Phison CEOは、コスト高と品不足により、価格競争力の低い機器を扱う一部メーカーが2026年後半以降に製品ラインの縮小や撤退に追い込まれる可能性にも言及している。これは完成品の選択肢が狭まるリスクであり、ベンダー・機種の選定を前倒しで固める理由になる。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • 調達計画の対象期間を延ばす:単年度ではなく2027〜2028年を含む複数年の需要(サーバー増設・PC更改・保守玉)を洗い出し、枠確保の対象を先まで広げる。
  • 取引条件(前払い・最低数量・キャンセル可否)を見積もり段階で確認する:価格だけでなく、前払いの有無や複数年コミットの条件を書面で押さえ、予算の支払い時期に反映する。
  • 予算を「複数年・上昇前提」で組み替える:均衡が早くて2030年との見通しを踏まえ、単年度の値上げ吸収ではなく、複数年度の総額として稟議枠を設計する。

よくある質問(FAQ)

Q: メモリの品不足はいつ解消しますか?

A: 2026年10月1日時点で、Phison CEOは需給ギャップの解消に数年かかるとし、Micronは2027〜2028年に一段と逼迫すると明言、SK hynixは均衡を早くて2030年とみています。少なくとも数年単位で逼迫が続く前提での計画が現実的です。

Q: 前払い(プリペイメント)を求められたらどう考えればよいですか?

A: 前払いは供給枠を確保する対価という側面があります。必要数量が確実な更改・増設については、価格上昇と枠喪失のリスクと、資金拘束のコストを比較して判断します。条件(期間・返金可否・最低数量)を書面で確認することが重要です。

Q: なぜ一般的なサーバー・PC用DRAMまで不足するのですか?

A: HBMなどAI向け高付加価値メモリに生産能力が優先配分され、同じウエハーから取れる一般DRAMのビット量が圧迫されているためです。メーカーが利幅の大きい製品を優先する構造が続く限り、コモディティ品の増分供給は細ります。

ニュース一覧に戻る