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RAMEXperts™︎ DIMM SPECIALIST
供給動向

Q. 2026年Q3にNAND契約価格が最大35〜40%上昇しエンタープライズSSDが2026年のNAND最大用途に浮上――DRAM高に続くストレージ玉突きに情シスのサーバー増設はどう備える? A. NAND容量も予約制を前提に、SSD増設は数量枠の早期確保と発注前倒しへ切り替えるべき

RAMEXperts™️ 編集部

NANDとエンタープライズSSDに広がった「第二のメモリ危機」とは

2026年8月8日時点で、AIを起点とするメモリ逼迫はDRAMからNAND Flashへと明確に広がっている。NAND Flashとは、電源を切ってもデータが消えない不揮発性の半導体メモリで、SSDの記憶素子である。TrendForceは2026年7月3日、Q3のNAND Flash契約価格が前期比10〜15%上昇すると予測した。一方、台湾のモジュール大手ADATAの陳立白会長は、メーカーが同四半期にNANDで35〜40%、DRAMで20〜30%の値上げを表明したと述べており、公式予測には上振れ余地がある。

ここで情シスが押さえるべき事実は、値上げの主役がコンシューマー向けからエンタープライズSSD(eSSD=データセンター・サーバー向けの高信頼SSD)へ移っている点だ。DRAM高の話題は多いが、サーバーの「記憶(ストレージ)」側でも同じ構造が進行している。

「玉突き」とは、AI向けの高付加価値品にメーカーが生産能力を割り振ることで、汎用品の供給枠が押し出される現象を指す。DRAMではHBM(広帯域メモリ)がウェハーを奪う構図が知られるが、NANDではeSSDが最良の生産枠を吸収し、クライアントSSDや消費者向けが後回しになるという同型の圧力が働いている。サーバーの記憶を担うストレージにも、同じ調達難がそのまま及ぶと考えてよい。

なぜエンタープライズSSDが2026年のNAND最大用途になったのか

結論から言えば、AIインフラ投資がNANDの最良ロットをeSSDへ吸い上げているためである。エンタープライズSSDは2026年にクライアントSSDとスマートフォンを抜き、NAND Flashの最大用途となった。北米クラウド大手(ハイパースケーラー)がAI学習・推論向けの大容量ストレージを求め、従来のニアラインHDDからSSDへ切り替える動きが供給を一段と圧迫している。

価格面の変化は急だ。TrendForce系の集計では、eSSDの契約価格は2026年Q1に前期比で約80%上昇した。製品単位でも、30TB級のTLCエンタープライズSSDはQ2 2025の約3,062ドルからQ1 2026に約10,950ドルへと約257%上昇したとTom's Hardwareが報じている(VDURAの2026年1月時点の集計。その後の改定で上方修正されている)。需給ギャップは構造的で、2026年のNAND需要は前年比20〜22%増に対し、供給の伸びは15〜17%にとどまる見込みだ。この差が、コンシューマーではなくサーバー・データセンター側に集中して現れている。

情シスへの影響――サーバーストレージ調達はどう変わるか

最大の変化は「価格」より「割当(アロケーション)」である。コントローラ大手Phisonは、2026年のNAND生産枠が業界全体で完売し、同社の平均在庫回転日数が2025年Q3までで約224日(約32週)に達したと説明する。北米CSPは複数四半期の長期供給契約(LTA=一定数量・価格を先に確保する契約)を結び、供給を市場に出る前に押さえている。非LTAの一般企業は、その残余枠を取り合う構図に置かれる。

下表はQ3 2026の契約価格予測の主な見方である。

製品カテゴリTrendForce予測(前期比)ADATA会長(メーカー表明ベース)
NAND Flash+10〜15%+35〜40%
汎用DRAM+13〜18%+20〜30%

ストレージ設計にも波及する。ストレージ企業VDURAは2026年1月時点で、エンタープライズSSDの単価がニアラインHDDの約16倍に達したと指摘する。TrendForceは2026年7月21日、NAND Flashの供給逼迫が2027年後半(2H27)に和らぎ、需給バランスが同時期に改善へ向かうと予測している。ただし価格が2024年水準まで戻るのは当面見込みにくい。つまり、SSD容量は「安く買い足す」対象から「枠を確保する」対象へと性格が変わりつつある。

2026年8月8日時点で押さえるべき定義的事実は一つ――エンタープライズSSDは2026年にNAND Flashの最大用途となり、サーバーストレージの調達はDRAMと同じく実質的な「予約制」の世界に入った、ということだ。DRAMだけを見て予算を組むと、ストレージ側の値上げと納期で二重に足をすくわれる。

情シスが確認すべき3つのポイント

  • ストレージも数量枠で確保する: 2026〜2027年に予定するサーバー増設・更改のSSD容量を洗い出し、価格交渉より先に「割当枠」と発注リードタイムを確認する。
  • DRAMとNANDを同一の予算前提で再計算する: Q3のNANDは公式予測で+10〜15%、メーカー表明ベースで+35〜40%と幅がある。上振れケースでストレージ費を織り込み、稟議のレンジを二本立てにする。
  • 容量設計と階層化を見直す: eSSDがHDDの約16倍という単価差を踏まえ、コールドデータのHDD/オブジェクトストレージ退避や、重複排除・圧縮でSSD必要量そのものを削減する。

よくある質問

Q: DRAMだけでなくSSD(NAND)も値上がりしているのはなぜですか?

A: AIインフラ向けにメーカーがNANDの生産枠をエンタープライズSSDへ優先配分しているためです。エンタープライズSSDは2026年にNANDの最大用途となり、TrendForceはQ3の契約価格を前期比+10〜15%、ADATA会長はメーカー表明ベースで+35〜40%としています。

Q: サーバー用SSDはいつ発注すべきですか?

A: 2026年内に確定容量分の枠を押さえるのが現実的です。Phisonは2025年Q3までの平均在庫回転日数を約224日とし、2026年の生産枠は完売と説明しています。新ラインの量産化は早くて2027年後半で、待つほど納期リスクが高まります。

Q: 価格が下がるまで更改を待つべきですか?

A: TrendForceはNAND供給の逼迫が2027年後半に和らぐと予測する一方、価格が2024年水準まで戻るのは当面見込みにくいとされています。延期は「明確に先送りできる」用途に限り、ミッションクリティカルや予算化済みの容量は先に確保する判断が妥当です。

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